2022 Fiscal Year Annual Research Report
Fluid mechanical study of higher dimensional black holes using the blackfold approach
Project/Area Number |
18K03652
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
宮本 雲平 秋田県立大学, 総合科学教育研究センター, 准教授 (70386621)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ブラックホール / 不安定性 / 流体・重力対応 / グレゴリー・ラフラーメ不安定性 / 黒様体 / レイリー・プラトー不安定性 / 変分法 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は,Gregory-Laflamme不安定性の最終状態を流体力学の観点から決定するのに不可欠である,表面張力で支えられた高次元軸対称流体の安定性についての考察を行った.次元を自由パラメータとして扱った上で,流体の安定性を変分法と呼ばれる手法を用いて解析を行い,主な成果として, 任意次元の空間において平行な超平面に囲まれた表面張力で囲まれた流体の安定性・不安定性を世界で初めて明らかにした(Koiso-Miyamoto JSIAM Letters). また,ブラックホールの影に関する研究も行なった.ブラックホールの影は観測的な重要性を持つだけでなく,強い重力場での物質の振る舞いを理解する上でも大切である.主な成果として,ブラックホールの周りに降着円盤と呼ばれる物質がある場合,影の形状から一意的に系のパラメータ(質量・距離・傾き)を決定できることを証明した(Hioki-Miyamoto PRD 2023). 本研究は微分積分・ベクトル解析・微分方程式など様々な数学を駆使して行う研究である.それらの手法について基礎的事項まとめ,学生・研究者が利活用できるように数学教科書(共立出版2022年)および啓蒙記事(サイエンス社2023年)の執筆にも取り組んだ. 研究期間全体を通して,高次元ブラックホールと流体の安定性に関する考察し,両者には強い類似性・相関があることがわかってきた.また,不安定性の最終状態について宇宙検閲官仮説に関する考察が本質的であることも判明しつつある.引き続き考察を行っていく.
|
Research Products
(5 results)