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2020 Fiscal Year Research-status Report

Theoretical research on gravitational wave phenomena caused by string axions

Research Project

Project/Area Number 18K03654
Research InstitutionOsaka City University

Principal Investigator

吉野 裕高  大阪市立大学, 数学研究所, 特別研究員 (20377972)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywordsアクシオン / ブラックホール磁気圏 / 電磁放射 / 強重力場
Outline of Annual Research Achievements

素粒子物理や超弦理論においてアクシオンという有質量スカラー場があることが期待されている。本研究課題はアクシオンが引き起こす天体現象を明らかにする計画である。アクシオンはブラックホールの回転エネルギーを引き抜いて成長し(超放射不安定)、アクシオンの雲をつくる。成長がすすむと非線形自己相互作用が効いてくる。その最終段階でおきる現象は2つの候補がある。ひとつはボーズノバと呼ばれる爆発現象であり、2つめは単純な飽和である。どちらが実際におこるかを明らかにするのが中心課題であった。
アクシオン雲の最終状態を明らかにするためにシミュレーションをおこなっている。この問題の難しさは超放射不安定の時間スケールが非常に長いことである。当初は近似により計算を軽くして長期間シミュレーションを可能にする方向性を模索していた。しかし近似の仕方によって計算結果が変わるため、良い方向性でないことがわかった。当該年度は計画の見直しを検討し、高精度の数値計算を長時間おこなうのが唯一の方法だと考えている。
ボーズノバの研究がなかなか進展しないため、当該年度からより広い観点をとりいれて研究をはじめた。ブラックホールまわりに磁気圏があり、その中ににアクシオンがあれば、電磁波が生成されてアクシオンの成長率に影響を与える。当該年度は電磁場とアクシオンの振る舞いをシミュレーションによって明らかにするために、数値コードを作成し、その現状を研究会で報告した。ただし現状では数値不安定がおきるため、大きな成果をあげているとは言い難い。
さらに問題を広くとらえてブラックホール近傍の強重力場の性質を明らかにする方向性も取り入れている。研究代表者と共同研究者が提案した強重力場を特徴づける新しい概念に関する性質を研究会で発表したほか、さらに拡張した概念を(未受理であるが)論文として投稿中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本プロジェクトの主要テーマである超放射不安定によるアクシオン雲の成長の最終状態を明らかにする課題は、予想外に難しい問題であり、研究が困難な状況になっている。これまでの試行錯誤で、ようやく正しい結果が得られる方向性がわかったというのが現状である。
当該年度より、研究計画を若干変更し、より広い観点からブラックホールとアクシオンからなる系を研究しはじめた。具体的にはブラックホール磁気圏を想定し、磁場とアクシオンの相互作用によってアクシオンの不安定成長率がどのように変化するかを明らかにしようとしている。このように、現在は研究計画の方向性を修正した段階である。また、さらに広い観点からブラックホールまわりの強重力場の数理的性質に関する研究を並行しておこなっているが、これはある程度の成果をあげてきた。
本プロジェクトは令和2年度までの計画であった。しかし、新型コロナウイルスの影響により、長い期間、大学での滞在を制限された。また非常勤で担当している授業がオンラインになり準備に必要な労力が膨大に増え、研究に割ける時間が少なくなった。このような影響により、本年度は研究がなかなかすすまず、学会や研究会の発表もなかなかおこなえない状況が続いた。当該年度の末あたりにはいくつか研究会に参加したが、オンラインだったため旅費や参加費は必要なく、研究費は使っていない状況である。そこで期間延長を申請し、研究費を繰り越した上であらためて研究させていただくことにした。

Strategy for Future Research Activity

本プロジェクトの中心目標である「ボーズノバがおこるかどうか」に関しては高精度の数値計算を長期間おこなうしかないと考えており、その方向ですすめてゆく。最近、関連する解析的な研究をおこなった京都大学のグループも数値計算による確認に興味を持っている。場合によっては共同して研究をおこなってゆくことを検討している。
次に、最近はじめたブラックホール磁気圏における磁場とアクシオンの相互作用の効果に関する研究であるが、安定性が得られずコードの開発がうまくいっていない。他の数値計算法を試したり、解析的に扱える設定を探ってゆく。また、ブラックホール磁気圏にアクシオンがある状況では相互作用次第では光子・重力子変換やアクシオン・重力子変換がおこるので、面白い現象がまだまだ期待できる。そうした方向性を探ってゆく。
また、広い意味で関連する強重力場の数理的な研究をおこなっているが、それも引き続き継続してゆく。

Causes of Carryover

当該年度は新型コロナウイルスの流行により計画に大幅な遅延が生じ、あまり学会等に参加できない状況が生じた。参加した研究会はいずれもオンラインで開かれ、参加費、旅費の必要がないものであった。そこで当該年度の支出はゼロになってしまっている。
次年度はコロナの状況次第ではあるが、研究結果を出して学会、研究会に参加したいと考えている。その旅費、参加費に使用させていただく。また、手持ちのノートパソコンは古いものなので、データ保存およびシミュレーションのテストランなどに使える程度のスペックのノートパソコンを購入することも検討している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2021 2020

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Presentation] 強重力場領域を特徴づける新しい概念の提案2021

    • Author(s)
      吉野裕高,泉圭介,白水徹也,富川祥宗
    • Organizer
      The 4th workshop on Mathematics and Physics in General Relativity
    • Invited
  • [Presentation] アクシオンとブラックホール磁気圏について2021

    • Author(s)
      吉野裕高,早田次郎
    • Organizer
      ブラックホール磁気圏研究会2021
  • [Presentation] Dynamically Transversely Trapping Surfaces in a Kerr spacetime2020

    • Author(s)
      Hirotaka Yoshino, Keisuke Izumi, Tetsuya Shiromizu, Yoshimune Tomikawa
    • Organizer
      Online JGRG workshop 2020
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-12-27  

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