2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K03657
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
初田 泰之 立教大学, 理学部, 准教授 (00581084)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ブラックホール摂動論 / 準固有振動モード / 超対称ゲージ理論 / 行列模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き、主にブラックホールの摂動論に関する研究を行った。Kerrブラックホールの摂動に現れるTeukolsky方程式が、N=2超対称QCDの量子Seiberg-Witten曲線と同等であることは昨年度の研究で既に発見していたが、今年度はこの対応を利用することで、対称性の構造が見えやすくなることを指摘した。興味深いことに、ゲージ理論側であらわな対称性の構造がブラックホール側では全く非自明な構造となっている。これを逆手に取ることで、ゲージ理論側の対称性を利用して、Teukolsky方程式と同等ではあるが、より解析の容易な微分方程式を発見することに成功した。
もう1つのテーマとして3次元N=4 ADHM理論と呼ばれる超対称場の量子論の相関関数の研究を開始した。この理論に超対称局所化と呼ばれる方法を適用することで、ある種の相関関数を行列積分の形で厳密に書き下すことが出来る。この局所化公式を利用することで、ゲージ群のランクが大きくなる極限、いわゆるラージN極限での相関関数の振る舞いがどうなるのかを詳しく解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は昨年度から期待されるよりはやや進展が鈍ったと感じる。まず成果に関しては、本年度は3編の学術論文を出版することができた。そのうちの単著論文1編は学術誌"General Relativity and Gravitation"のeditor's suggestionに選出されたので、当該分野において高く評価されたと言える。またここ数年の研究成果のまとめとして、ブラックホール摂動論に量子力学の手法を応用するというテーマでレビュー論文を出版することができた。一方で、新な成果としてはやや不満が残る点もあった。その理由はコロナ禍の影響もあり、ほとんど出張ができずに、共同研究者との議論や研究会への参加が難しかったためである。そのため本年が最終年度であったが、来年度も引き続き本研究を継続することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年はコロナ禍の影響もあり、出張ができなかった。本年は状況を踏まえつつ、必要な出張は積極的に行っていきたい。特に共同研究者と現地で集中的に議論することを考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で出張できなかったため。次年度は研究遂行上必要な出張は積極的に行っていく。
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