2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K03692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸谷 友則 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90321588)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高速電波バースト / 連星中性子星合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
連星中性子星の合体は、重力波天文学の誕生により大きな注目を集めているだけでなく、高速電波バーストの発生源の可能性からも注目されている。我々は本科研費の研究において、連星中性子星合体からの質量放出やそれが引き起こす残光のモデルについて、詳細な物理過程を考慮した最先端のモデルを構築した。それを用いて、高速電波バーストの発生後、連星中性子星合体からの電波残光の有無を観測的に調べることで、連星中性子星が高速電波バーストを引き起こす可能性にどれだけ制限がつけられるかを調べた。その結果、現状では、高速電波バーストは比較的遠方で起きているため、電波残光の検出は難しく、今の観測データでは強い制限は得られないことがわかった。だが、今後、比較的近距離で発生した高速電波バーストの残光を調べることで、このシナリオに有用な制限をつけられると期待される。また、カナダのCHIME電波望遠鏡では広視野を電波でサーベイ観測できるため、高速電波バーストの検出とは無関係に、電波残光が検出される可能性がある。その予想検出頻度を理論計算し、論文として報告した。今後のサーベイ観測との比較が期待される。また、連星中性子星からの残光は、高エネルギーガンマ線領域でも期待される。また、チェレンコフ望遠鏡アレイ計画などの将来計画で検出が期待されており、我々のモデルを利用して最新の検出頻度予想を現在計算中であり、論文として出版を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CHIME 望遠鏡での残光検出頻度予想の論文を出版し、また、高エネルギーガンマ線での検出頻度予想も、順調に計算が進んで、論文化が見えてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
連星中性子星合体からの高エネルギーガンマ線での検出頻度予想については、速やかに論文化を目指す。また、今後の新たな方向性として、繰り返し発生する高速電波バーストの発生時間の統計的性質に関する研究も始めており、高速電波バーストの性質を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、研究会などでの成果発表の機会が得られず、旅費として想定していた研究費を繰り越したため。
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