2021 Fiscal Year Research-status Report
広天域撮像サーベイを用いた密度ゆらぎの総量の精密測定
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18K03693
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大栗 真宗 千葉大学, 先進科学センター, 教授 (60598572)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重力レンズ / 銀河団 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の重要な進展として、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam (HSC)サーベイの三年度データを用いた重力レンズカタログの作成があげられる。データの慎重なチェックの結果、宇宙論解析に必要が精度が満たされていることを確認した。その応用研究の一つとして、この重力レンズカタログを用いて質量マップを作成し、そのピークから銀河団サンプルを作成した。従来と同じ手法で510平方度の質量マップから187個の銀河団サンプルが得られた。一方質量マップ作成時のフィルター関数を工夫し、さらにソース銀河の赤方偏移を考慮することで、418個の銀河団サンプルが得られた。これは質量マップから構築された銀河団サンプルとしては圧倒的に過去最大のサンプルであり、多方面の応用が期待できる。またソース銀河の赤方偏移情報を利用した三次元質量マップの作成についても、データサイエンスで度々使われるスパースモデリングの手法を応用した新手法を開発した。この新手法により、銀河団を三次元質量マップから直接検出するという過去に例のない応用への道筋がつけられることとなった。シミュレーションデータを用いたテストによりこの手法がうまくいくことを確認し、すばる望遠鏡HSCサーベイデータへの適用の研究を現在すすめている。この研究以外にも、銀河団のX線観測データやアルマ望遠鏡観測データを用いた多波長銀河団解析に従事し、銀河団内のダークマター分布についての理解を深める結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論と観測の両面で研究がすすみ、順調な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
すばる望遠鏡HSCサーベイのデータを用いた宇宙論解析の新しい結果を得るべく研究をすすめる。
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Causes of Carryover |
コロナの影響によりすばる望遠鏡サーベイの進捗もやや遅れたため研究計画に遅れが生じ、また科研費も海外出張等に使用できなかった。次年度の物品購入や出張費に使う予定である。
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