2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishing Next Generation UV-Opt-IR Standard Star Network with Hubble Space Telescope
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18K03696
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 尚孝 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (20722804)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 白色矮星 / 超新星 / 較正 / 観測的宇宙論 / ハッブル宇宙望遠鏡 / JWST / 黒体輻射 / 暗黒エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究初年度である。本研究課題は、新しく発見された黒体輻射のスペクトルをもつ天体の発見論文を出版した(Suzuki & Fukugita 2018, Astronomical Journal, 156, 219)。 本発見の意義は、これまで知られていた、明るさを較正するための星よりも、これらの星はより精度よく紫外領域から、可視、赤外まで較正できることである。2018年8月にオーストリア、ウィーンで開かれた国際天文学会(IAU)に於いて、本成果を発表した。また、欧州のグループによって、発見された天体がヘリウムに覆われた温度の低い白色矮星であることが理論モデルにより示唆された(Serenelli et al, 2019, Astronomy and Astrophysics, 623, 177)。天体の正体に迫る研究も進んでいる。 大型望遠鏡の分光観測進行中で、これまで発表した17天体のうち、過半数はカリフォルニア大学のケック望遠鏡、日本のすばる望遠鏡によるスペクトルを集めることができた。 ハッブル宇宙望遠鏡の観測は、公転視差を利用した距離測定も兼ねており、当初から2年計画である。本年度は、紫外領域の撮像に成功し、データを確保することができた。簡易解析の結果、当初予定していた精度が得られる感触を得た。しかしながら、2018年秋にハッブル宇宙望遠鏡のジャイロが故障し、修復に時間がかかったため、当初予定していた赤外での観測はまだできていない。観測は来年度に延期されたが、遂行予定である。今後は解析を進め、より精密な暗黒エネルギーの測定及び、次世代大型赤外宇宙望遠鏡(JWST)へ向け、準備を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、本年度中に紫外線領域及び赤外線領域でのハッブル宇宙望遠鏡の観測が完遂するはずであったが、2018年秋にハッブル宇宙望遠鏡のジャイロが故障し、修復に時間がかかったため、当初予定していた赤外での観測はまだできていない。観測装置は無事復旧し、観測は来年度に延期されたが、遂行予定である。また、すばる望遠鏡での分光観測も、ハワイ島マウナケア山の火山と、ハリケーンによる漏水の影響により、分光装置の観測に支障が生じたものの、来期以降、取り戻すことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には、ハッブル宇宙望遠鏡により赤外領域での観測が完遂し、また分光観測も若干の予定延期は見込まれるものの、来年度までには完了する予定である。データが確保でき次第、解析を進める予定である。また、地上からのモニター観測も予定している。天候にもよるが、スペクトルが揃い次第、解析と論文化を今年度より進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、観測計画に対し、宇宙望遠鏡の故障、地上大型望遠鏡の故障が重なり、次年度に延期する必要が生じた為。望遠鏡時間と解析に必要な機器の購入を次年度に予定している。
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