2023 Fiscal Year Annual Research Report
State Transition of the Solar Magnetic Field: Probing the Trigger for the Solar Activity Grand Minimum through MHD Simulations
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18K03700
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
政田 洋平 福岡大学, 理学部, 准教授 (30590608)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 太陽・恒星 / 熱対流 / トポロジカルデータ解析 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、太陽内部熱対流の二種類の理論モデル:①冷却駆動型モデル、②エントロピー勾配駆動型モデル、について、位相幾何学の観点から解析を行った。これは、位相的データ解析(Topological Data Analysis : TDA)と呼ばれる2000年代初頭に登場した新しい解析手法であり、複雑なデータを位相空間の中で縮約することで、「隠された構造」(特徴量)を抽出できる極めてユニークな手法である。表面的な解析だけでは同定することが難しい太陽熱対流の理論モデルを、トポロジーの観点から制約しようとする試みであり、理論モデルから得られた数値データだけでなく、観測データに対してもTDAを行い、両者の特徴量を抽出・比較することで、実際の太陽内部熱対流が、二種類の理論モデルのどちらに近い特徴を保持しているかを議論・推定できる。本研究の結果、以下の4点を明らかにした: ①太陽熱対流の高解像度観測のデータにはパーシステント図(PD)上で水平腕構造が現れる一方、低解像度のデータには、水平腕構造が現れない。 ②冷却駆動型モデルと、エントロピー駆動型モデルを比較すると、前者の方が、PD上の水平腕構造は顕著である。 ③PD上の水平腕構造は、上昇流セルの中に生じる局在化した下降流領域に対応しており、下降流プルームの発生頻度の観点から、現実の太陽の熱対流は、冷却駆動型熱対流に近い振る舞いをしていることが示唆される。 ④下降流プルームの発生は『トポロジカル欠陥』の形成と関連する可能性が高い。 本研究の結果は、Masada, Nakata & Mototake (2024) として2024度中に論文化の予定である。また、最終年度は、これまでの研究成果をまとめて、海外の研究者らとレビュー論文を執筆し、すでに受理・発行されている(Brandenburg, Elstner, Masada & Pipin 2023)。
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