2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K03704
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
北山 哲 東邦大学, 理学部, 教授 (00339201)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 銀河団 / ダークマター / 電波 / X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、赤方偏移0.6に位置するフェニックス銀河団(SPT-CLJ2344-4243)に関する研究成果を発表した。この銀河団は、現在までに知られている中で唯一、激しいガスの冷却と星形成が起こっていることが確実視されている銀河団である。今回我々は、Australia Telescope Compact Array (ATCA)を用いて、フェニックス銀河団の中心銀河内の巨大ブラックホールから噴出するジェットを発見することに成功した。巨大ブラックホールによるジェットは、銀河団におけるガスの冷却や星形成を普遍的に阻害するのではないかと従来考えられてきたが、今回の結果はそのような描像に対する興味深い反例を提供している。本成果に関しては、2020年8月31日に国立天文台などによるプレスリリースが行われた。 また、銀河団の中心銀河とダークマターハローの空間分布に関する研究についても、前年度の研究成果を更に発展させ、強い重力レンズ効果を用いて測定されたダークマターハローの形状と、ハッブル宇宙望遠鏡により観測された中心銀河の形状の間の系統的な比較を、計45個の銀河団に対して行った。その結果、ダークマターハローの主軸の向きと、中心銀河の主軸の向きが、20度程度の範囲内でほぼ揃っていることなどを明らかにした。 すばる望遠鏡に搭載された Hyper Suprime-Cam による広視野サーベイで同定された銀河団のフォローアップ観測も進めた。Green Bank Telescope によるスニヤエフ・ゼルドビッチ効果とXMM-Newton衛星によるX線のデータを用いた解析の結果、2億度を超える非常に高温なガスの存在が明らかになった。 さらに、かねてより執筆を進めてきた銀河団に関する専門書を発刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの研究を更に発展させた成果が得られ、査読付き論文として出版されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をさらに発展させつつ研究を進めたい。特に、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を用いた銀河団プラズマの研究に関して、新しいデータが取得されたので、それを用いた研究に重点をおく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で、旅費の使用が困難となったために未使用額が生じた。次年度に状況が改善すれば旅費等として使用することを計画している。
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Research Products
(13 results)
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[Book] 銀河団2020
Author(s)
北山 哲
Total Pages
256
Publisher
日本評論社
ISBN
978-4-535-60746-0