2021 Fiscal Year Annual Research Report
A spectroscopic study of chiral precursors of amino acids
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18K03705
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
尾関 博之 東邦大学, 理学部, 教授 (70260031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 かおり 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80397166)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミノ酸前駆体 / ホモキラリティー / マイクロ波分光 / 星間物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上の生命で実現しているホモキラリティーの起源を地球外に求めることが出来るのかどうかを考察する一助として、キラルな分子、その中でもキラルな生命素材物質が星間分子として存在するのかどうかを、観測的に確かめることを目指している。本研究はそうした観測を実施するために必要な、分光学的参照情報(スペクトル線の静止周波数や強度情報等)を提供することを第一目的として、最も単純なキラルアミノ酸であるアラニンの前駆体の一種である、5-メチルヒダントインに着目し、純回転スペクトルの測定を通した分光学的同定を進めてきた。 当初の計画期間である三年間で、5-メチルヒダントインの振動基底状態および四種類の低エネルギーの振動励起状態の帰属に成功し、論文投稿に向け準備を進めていたところ、2021年6月に開催されたInternational Symposium on Molecular Spectroscopy学会での我々の5-メチルヒダントインの分光測定結果についての発表に対して、Wisconsin大学の研究者より指摘を受けることとなった。具体的には振動励起状態の分子定数-特に遠心力ひずみ定数について、振動励起状態のそれらとの乖離が大きすぎるのではないかというものであった。 この指摘に基づき、改めて振動励起状態について適切な規模の基底関数系を用いた密度汎関数法による分子定数の見積もりおよび、一部スペクトルの再測定を行った。その結果、その時点で得られていた基底状態を含め五種類の状態の分子定数のうち、十分信頼できる遷移周波数データを提供しうるのは振動基底状態と、最低エネルギーの振動励起状態の二種類に留まると判断せざるを得ないことが分かった。そこで当初の方針を変更し、本研究においては、これら二種類の状態の参照情報に限定して論文による公表を行うこととした。
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Research Products
(3 results)