2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on binary evolutions with physical process around neutron star: Application to neutron star ULX
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18K03706
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
鴈野 重之 九州産業大学, 理工学部, 准教授 (20615364)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 連星進化 / 中性子星 / X線連星 / 降着円盤 / 超高輝度X線天体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,コンパクト天体周囲の降着円盤の影響を考慮した新しい連星進化計算法を開発し,中性子星をX線源とするUltra-Luminous X-ray source (NS ULX)の進化過程を解明することを目的として研究を進めてきた.とくに従来考慮されていなかった降着天体周辺の物理過程までモデル化して連星進化計算に組み込むことで,ULXとなり得るような連星系の物理や,X線連星中の中性子星の磁場・スピン共進化を明らかにしてきた. 最終年度の研究では,とくにBe型ドナーを持つ大質量X 線連星系(HMXB)に着目し,様々な連星パラメタを持つBe 型HMXB の進化計算を行うことにより,その進化の過程でULXとなり得るか否かを調べてきた.またULXとなるならばその期間はどれほどになるのか検討した.Be型HMXBがエディントン限界光度を上回る条件を求め(Karino,2021,MNRAS, 507,1002として公表),その条件を用いて,連星進化の過程でこのULX条件を満たすような連星系の初期条件を探ってきた.得られた条件を観測されているBe型HMXBの連星パラメタと比較すると,観測されている系のうち,一定数は進化の一過程でULXとなり得ること,またその寿命は十分に長いことが示唆された.とくに,軌道周期が数十日で,軌道離心率の大きな系がULXとして観測されやすいだろうことを議論している.このような研究は宇宙における中性子星=ブラックホールの比率の推定や,大質量ブラックホールの形成史への示唆を与えるであろうことが期待される. 最終年度の結果は学術論文として投稿し,2022年4月現在査読審査中である.
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Research Products
(3 results)