2023 Fiscal Year Annual Research Report
Cold Accretion from the Core of Galaxy Clusters to Super Massive Black Holes and Its Relation with AGN Activity
Project/Area Number |
18K03709
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
永井 洋 国立天文台, アルマプロジェクト, 准教授 (00455198)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 活動銀河核 / 銀河団 / AGNフィードバック / ブラックホール降着流 / 電波観測 / アルマ望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】近傍銀河団の中心銀河は、宇宙で最も重い巨大ブラックホール(SMBH)を持つ。こうした環境における銀河・SMBHへの質量降着と、活動銀河核(AGN)からのフィードバック機構には未だ未解明な点が多い。銀河団中心銀河の周辺には、X線を放射する高温ガスの存在が確認されていることから、高温ガスの降着が質量降着の主たる担い手と考えるのが自然である。しかし、高温ガスが運ぶ降着パワーだけではAGNの光度を説明するには不十分で、この差を埋める要因が何なのかは長らく不明であった。アルマ望遠鏡の登場により、分子ガス輝線をトレーサーとした、冷たいガスの詳細観測が可能となり、こうした銀河における冷たいガスの存在を探ることができる時代が到来した。
【研究の概要】ペルセウス銀河団の中心にある巨大楕円銀河NGC1275から放射される分子ガス輝線を、アルマ望遠鏡を用いて、これまでにない解像度で観測を行った。この観測によって、中心10-1000パーセク(pc)スケールにおける冷たいガスの流れの空間分布・運動を明らかにし、銀河団からSMBHに至る冷たいガス降着の実体を調査した。本観測によって、数値実験から期待されるフィラメント状のガス降着が1000 pcスケールで見られること、100 pc以内に核周円盤が存在することを発見した。これらの構造の質量や降着のタイムスケールから、AGNの光度を説明するに十分な質量降着が行われ得ることを明らかにした。
【2023年度の実績】当初の研究の狙いは2020年度で概ね達成したが、COVID-19の影響により、研究成果の発表の機会が減少したため、研究期間を延長してきた。延長期間は、当該研究の成果をもとに、 アルマCycle 6、Cycle 9で得たデータを用いた発展的研究を行うとともに、Cycle 11への観測提案に取り組んだ。
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