2018 Fiscal Year Research-status Report
Molecular torus survey and magnetic field measurement in radio galaxies
Project/Area Number |
18K03712
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
亀野 誠二 国立天文台, チリ観測所, 教授 (20270449)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 活動銀河核 / 電波銀河 / 偏波観測 / 分子ガストーラス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、活動銀河核(Active Galactic Nuclei : AGN) のエネルギー源である降着物質が大質量ブラックホール周辺になす分子ガストーラスを観測し、密度・質量降着率・および角運動量輸送の鍵となる磁場を計測するものである。KVN (Korea VLBI Network) によって電波銀河NGC 1052を観測した結果、HCNおよびHCO+分子の吸収線を検出し、その空間分布からジェットに垂直なトーラス状に高密度分子ガスが存在し、回転に加え中心へ降着していることを明らかにした。この結果は査読論文 (Sawada-Satoh S., et al., 2019, ApJ, 872, L21) に報告した。さらにALMA望遠鏡によってNGC 1052のトーラスにおける多種の分子吸収線 (CO, HCN, HCO+, SO, SO2, CN, CS) および同位体 (H13CN, HC15N, H13CO+) や振動励起吸収線 (HCN v2=1, HCO+ v2=1) を発見した。また、ALMA望遠鏡によって5天体の電波銀河を観測し、そのうち4天体にトーラス起因の分子吸収線を検出した。これらの結果は国際研究集会 (Torus 2018) にて招待講演で報告し、査読論文を準備中である。 加えて、トーラスの磁場を計測する目的でALMA Cycle6に偏波観測を提案し、2天体の電波銀河の観測が採択され、2019年4月までに観測が実行された。観測データが配布され次第、解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子ガス吸収線の観測はすでに解析を終え、一部は成果を出版済みであり、予定通りに研究が進んでいる。 5天体の電波銀河でトーラス起因の分子吸収線をALMA望遠鏡で探査する試みもすでに解析を終え、4天体での検出を得た。この結果も出版に向けて予定通りに進んでいる。 ALMA望遠鏡で観測できない北天の電波銀河については、NOEMA干渉計(フランス)による観測を申請し、採択された。 トーラスの磁場計測を目指すALMAの偏波観測は、4倍を超える高い競争率の中で無事に採択され、予定通りに観測が実行された。解析の結果次第であるが、予定通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
解析済みの分子ガス吸収線観測結果については、最優先で論文にまとめ学術誌へ投稿する。 NOEMA干渉計による北天の電波銀河における分子ガス吸収線探査、およびALMA望遠鏡の偏波観測による磁場計測については、観測データが配布され次第解析を行う。 目標としている観測は全て実行されたので、本研究課題の枠内で新規の観測は行わない。しかし本研究課題で得られた、分子ガス吸収線の干渉計観測が活動銀河核の分子ガストーラスの構造・組成・物理量の計測に有効であるという知見を元に、さらに高い空間分解能が得られるEHT (Event Horizon Telescope) への観測提案を検討している。
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Causes of Carryover |
会計担当者の入力ミスにより初年度の執行額計算に誤りが発生し、会計システム上で予算残高不足であると表示され、購入予定だったハードディスクおよびSSDの発注を調達係から断られた。年度末に誤りに気付いたがすでに年度内の執行期限を過ぎていたため、初年度に購入できなかった。 観測データが配布される前に、早急にハードディスクとSSDを購入する。
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[Journal Article] A Broad HCO+ Absorption Line Associated with the Circumnuclear Torus of NGC 10522019
Author(s)
Sawada-Satoh, Satoko; Byun, Do-Young; Lee, Sang-Sung; Oh, Se-Jin; Roh, Duk-Gyoo; Kameno, Seiji; Yeom, Jae-Hwan; Jung, Dong-Kyu; Oh, Chungsik; Kim, Hyo-Ryoung; Hwang, Ju-Yeon
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Journal Title
The Astrophysical Journal Letters
Volume: 872
Pages: L21, 6pp.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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