2018 Fiscal Year Research-status Report
大気光イメージング観測による大気重力波構造からの風速決定
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18K03728
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
鈴木 臣 愛知大学, 地域政策学部, 准教授 (60397479)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大気光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,大気光撮像観測で得られる大気波動パラメータからの風速の導出である.これにより,大気光観測のみで大気重力波の運動量フラックスを算出することができる.従来のように他の大型測器による風速の同時観測を必要としないため,運動量フラックス算出の時間的・空間的制限は大きく緩和され,これまでになく長期的な変動を得ることも可能となる.さらに本研究によ る風速導出の手法は,世界各地で実施されている大気光観測においても応用可能であるため,需要の高い超高層大気風速の汎地球的マップ作成にも貢献する. 本年度は(1)風速測定のための大気光カメラの開発,(2)画像からの波動判定プログラムの開発,(3)風速算出プログラムの整備を進めた. OH 大気光(発光高度約 85 km)および O 大気光(発光高度約 95 km)のイメージング観測を光学フィルタをフィルタホイールで切り替えながらひとつのカメラで観測していく.ただし O 大気光は暗いため大気波動の観測に最適な露光時間や観測周期をさらに調整する必要があることがわかった.また,テスト観測画像を用いて水平波長数十 km 程度の大気重力波構造を自動で抽出して,波動の水平波長,水平位相速度,周期を算出した.現段階では画像中の星によって波動の抽出精度が下がるため画像からの星の除去が課題である.波動の抽出精度は見積もられる風速誤差に直接影響するので次年度は精度の良い観測と解析を考えていく必要がある.風速を算出するプログラムは未完成であるが,人工的な波動構造から風速を求める際のいくつかのサブルーチンを開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2台のカメラを用いたステレオ観測の環境整備を進める予定であったが,大気光カメラの開発が遅れたため今年度は1台のカメラのみ開発した.ステレオ観測は次年度に実施予定である.ただしソフトウェアの開発は順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
風速算出プログラムの開発を終え,まずは風速との同時観測がある過去の大気光画像を用いて風速を求めることで決定精度の評価をおこなう予定である.並行して,大気光発光高度に必要な2台目のカメラの開発を進める.冬季に,信楽 MU 観測所において1週間程度のキャンペーン観測を実施し,同所で運用されているファブリペロー干渉計による風速との同時観測データから,本研究で開発したカメラシステムによる風速推定を定量的に評価する.
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Causes of Carryover |
本年度にステレオ観測のため2台のカメラの購入する予定であったが,カメラシステムの開発が遅れ1台のみの購入となったため.テスト観測を進め大気波動の観測精度が確認され次第,同じ機種のカメラを購入予定である.
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Research Products
(3 results)