2023 Fiscal Year Annual Research Report
Determining wind speeds from atmospheric gravity wave structures using airglow imaging observations
Project/Area Number |
18K03728
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
鈴木 臣 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (60397479)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大気重力波 / 大気光 / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
各地で精力的に実施されている大気光撮像観測において,超高層大気の大気重力波の持つ運動量フラックスを定量的に見積もるためには,観測で得られる大気重力波の基本パラメータとともに,他の測器による背景風速の同時観測が不可欠である.しかし背景風が得られる機会は限定的であり,このことが気象に対する超高層大気の応答の定量的な議論を大きく制限している.本研究では高度の異なる大気光撮像観測から,大気重力波の鉛直構造を同定することで大気光発光層高度(中間圏界面高度付近)の風速を導出することを目的にしている. 研究期間には大気光カメラシステムおよび風速算出プログラムの開発をおこなった.カメラシステムについては,自律的に観測を調整(太陽と月の高度を判断して各晩の観測時間を制限)することで,計算サーバへ転送するデータ量を削減した(1晩の観測のデータ総量はおよそ 500 MB).これにより現地ネットワークだけでなくサーバの負荷も減り,画像処理効率が上昇した.風速算出プログラムについては,人工的な波動構造を含む画像を作成して,高度 85 km(OH大気光を想定),高度 95 km(酸素原子大気光を想定)の構造から風速を推定することに成功した.ただし,波動構造の抽出において画像から波動構造のスペクトルを汚染する星の除去処理の強度によって推定精度がばらつき,また,実際の大気光画像では構造が不鮮明であるためさらに精度が落ちる.当初計画していたドイツでのライダーとの同時観測は,新型コロナウィルス感染症の拡大により見送ったが,別のカメラシステムの過去の実データを使った風速推定とFPIによる同時観測の風速との比較にも着手できる状態になっている. 本研究による風速導出の手法は,世界各地で実施されている大気光観測においても応用可能であるため,需要の高い超高層大気風速の汎地球的マップ作成にも貢献できる.
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