2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03734
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲津 將 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80422450)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向川 均 京都大学, 理学研究科, 教授 (20261349)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 大気ブロッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度は、平成30年度に開発した大気循環の回転成分を表現する渦度の方程式から、ブロッキング現象を含む大気の(統計的には時間空間的に直交する)主成分を基底とした分解を行い、モード方程式を導出する方法を、実際のデータに当てはめて、太平洋や大西洋のブロッキングの発達時と消滅時にどのような非線形効果がはたらくかを診断した。その結果、太平洋ブロッキングには高次モードの渦フラックス収束による効果が卓越し、大西洋ブロッキングには低次モードの渦フラックス収束による効果が卓越することが示された。この結果はモード展開によって、極めて合理的に示されたものである。たとえば、これまで研究で明らかにされた大気ブロッキングの発達過程も本研究で開発された手法で系統的に診断された。以上の内容は、Journal of the Atmospheric Scienceに受理され、出版された。一方、低次元確率微分方程式の構築をサーベイし、Inatsu et al. (2013)や平成30年度に開発した方法の他、Kravtsov et al. (2016)の方法を実装した。この方法は乗法的ノイズを含む多段回帰モデルであり、すでに現実的な統計を再現できる高性能のモデルであることが確かめられている。これを用いた応用研究(8年のデータを学習した統計モデルで100年のデータを出力し、気圧から降水へと変換する手法を開発した)によって、Journal of Applied Meteorology and Climatologyに論文が受理され、出版された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に示された研究内容を順調に実施している。
|
Strategy for Future Research Activity |
S2Sやd4PDFなどの大規模データを利用した確率微分方程式の構築を実施し、低次元における予測可能性を理論的に明らかにする研究を指向する。
|
Causes of Carryover |
予定していた大型計算は平成30年度に終了したため、平成31年度は大きな支出をしなかった。令和2年度にはデータ解析のために大量データを格納するストレージを必要とする可能性があり、そのための支出を見込んでいる。
|