2018 Fiscal Year Research-status Report
大気海洋間におけるCO2交換量の直接測定法の確立を目的とした大気圧乱流変動の観測
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18K03754
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
Principal Investigator |
近藤 文義 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (40467725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杣谷 啓 大同大学, 工学部, 准教授 (70581429)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大気圧変動 / 渦相関法 / 空気密度変動補正 / WPL補正 / 地表面フラックス / 大気海洋相互作用 / 大気乱流 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大気乱流による気圧変動を精確に捉えるための計測手法を開発し、海洋と大気間の二酸化炭素交換量の唯一の直接測定法である渦相関法において必須である空気密度変動補正について、これまで考慮されてこなかった気圧変動項の大きさを実測によって明らかにすることを目的としている。 初年度は野外で気圧変動を計測するために選定した3種類の円盤型プローブに関して、気圧の計測値に影響を及ぼす動圧についての風速や風向の依存性に対する各プローブ固有の影響を明らかにするための風洞実験を実施し、水平と鉛直の各風向に対して風速を変数とする補正式を作成した。これら円盤型プローブを用いて、大気乱流によって気圧が変動する要因を明らかにするための予備観測を熱対流が活発に生じることが予測されるアスファルト面において実施し、対流プリューム理論にて予測されている熱的要因による乱流渦よりも力学的要因による乱流渦によって気圧変動が卓越する可能性を示唆する結果を得た。 次に、室内風洞実験で用いられている注射針型プローブを野外観測に応用するため、先端の注射針部の長さ(尖り度)や静圧孔の大きさと数、全長などを変えることで最適な計測プローブを構築するために数種類の型を設計し、工作に着手する段階にまで進めた。さらに気圧変動を検出する圧力計について、大気乱流により生じる低周波の気圧変動を捉えられない差圧計に代わって、0.01s~1時間程度の応答性のある水晶振動式圧力計を導入し、全周波数域の気圧変動の検出を試みるための予備試験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は注射針プローブの構築を終え、十分に取り除くことのできない動圧を補正するための風速や風向の依存性を円盤型プローブと共に明らかするところまで実施する予定であったが、先に取り組んだ円盤型プローブの性能評価の再現性を得るために実験方法を見直す必要性が生じたため、本年度中に完了することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
工作中の数種類の注射針型プローブを完成させた後、風洞実験にて動圧に関する風速や風向の依存性に対する各型固有の性能を評価して最適な形状を明らかにする。 WPL補正を適用した渦相関法により二酸化炭素交換量が零を示さないアスファルト面において、選定した円盤型と注射針型のプローブによる気圧変動の野外観測を実施し、導出理論に誤りのない空気密度変動補正を実証する。 気圧変動項を含めた空気密度変動補正を適用した渦相関法による海洋大気間における二酸化炭素交換量の集中観測を実施し、通年観測も開始する。
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Causes of Carryover |
注射針型プローブの加工が完成にまで至っておらず、工作費の支出が次年度になったためである。また想定より工作費が安価となるため、観測旅費に充当することで、より多くの観測データを蓄積する予定である。
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Research Products
(2 results)