2019 Fiscal Year Research-status Report
脱皮成長の生物殻を用いた過去1500年間の数日~数週間スケールの降水量復元
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18K03757
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山田 桂 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (80402098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸 浩二 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (60252897)
入月 俊明 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (60262937)
坂井 三郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学プログラム), 主任技術研究員 (90359175)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 汽水湖 / 粒度分析 / 洪水イベント / 貝形虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年に中海湖深部で採取されたN2018コアの堆積年代を決定するため,4試料の14C年代測定を外部に委託して行った.その結果,採取したコア試料は西暦500年以降の連続した堆積物を記録していることが明らかになった.この堆積速度は,これまでの中海の柱状試料から得られた堆積速度とほぼ一致している. この柱状試料について,軟X線写真を撮影し,堆積構造や粒度変化の有無を確認した.また,粒度分析に加え,全有機炭素,全有機窒素,全硫黄量の分析を行った.さらに貝形虫群集解析を行った.粒度分析は274試料全てについて行った.全体の傾向としては,平均径は上方に向かって徐々に減少していた.また,最頻径はコア深度180~160 cmにかけて低下し,それ以外のところは安定した値を示した.加えて,深度30 cm, 84 cm, 122 cm, 124 cmの4試料で突出して高い平均径を示した.全有機炭素,全有機窒素,全硫黄量の分析については,粒度分析結果を参考に160試料を選び行った.これら全てに共通して,最下部からコア深度166 cmにかけて徐々に低下し,その後コア深度44 cm付近から最上部にかけて増加した傾向を示した.しかし粒度分析が顕著に高い値を示した試料で,突出した変化は認められなかった.粒度分析の結果を踏まえて選択した23試料について,貝形虫群集を検討した.その結果10属14種が産出し,優占種は同位体比分析に用いているBicornucythere bisanensisであった. これらから,過去1600年間の古環境記録を保存した試料が採取できており,洪水などのイベント堆積物が保存されている可能性が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に予定していた内容のうち,一部の試料の貝形虫殻の酸素同位体比分析について,年度末に予定していたため新型コロナウィルスの影響で行うことができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主な手法である殻の酸素同位体比分析について,2019年度は新型コロナウィルスの影響で着手することができなかった.2020年度は当初分析を予定していた分析機関に加え,新たに1つの機関で分析を行えるよう準備を進める予定である.また,状況によって一部外部への分析依頼も検討する.これらにより,新型コロナウィルスにより最も重要な貝形虫殻の酸素同位体比分析データが得られない状態を回避する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により,文献の入手ができなったため.2020年度に入手予定である.
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Research Products
(5 results)