• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Research-status Report

堆積物を運んだ水の起源情報としての鉄マンガン酸化物のポテンシャル評価

Research Project

Project/Area Number 18K03765
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

齋藤 有  早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (60469616)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松本 弾  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (80709551)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
KeywordsSr-Nd同位体比 / 水ー堆積物相互作用 / 海水 / 津波堆積物 / 懸濁物
Outline of Annual Research Achievements

仙台湾の海水溶存成分と懸濁物間のNd同位体比の相関を検証した(①).2011年東北地方太平洋沖地震による津波堆積物を用いて海水起源Srの長期保存状態を検証した(②).
①の目的は,堆積粒子が周囲の水に溶存するNdを吸着し保持するかどうかを確認することであった.用いた懸濁物試料は,仙台湾の阿武隈川から沖へ向かう側線で陸から22, 37, 48, 67kmの水深10,30, 50, 100m地点で採取した海水4Lからメンブランフィルターで濾過採取したものである.その10%酢酸溶出液を炭酸塩成分,1Mハイドロキシルアミン酢酸溶液を鉄水酸化物成分とし,残渣をケイ酸塩成分として,それぞれに含まれるNdの同位体比を測定した.それらを海水溶存Nd同位体比と比較したところ,炭酸塩成分とケイ酸塩成分とは弱い相関(r=0.5~0.65)が認められた.一方,鉄水酸化物成分とは相関は認められなかった.ケイ酸塩成分と海水溶存成分とに相関が見られるということは,海水のNd同位体比は微細鉱物粒子の値によって決まっている可能性を示唆し,吸着Ndが溶存Ndの同位体比を保持する,という仮説の検証には不適合な結果となった.海水中の懸濁粒子が微細かつ微量すぎるということが問題だったと考えられる.
②では,2014年と2019年に採取した試料を用いた.津波堆積物と解される層は厚さ約10cmで,砂質な下部と泥質な上部とから成る.2014年採取試料の水溶成分のSr同位体比を測定した結果,下部から上部に向かって値が上昇し,海水の値(~0.709)に接近する変化が見られた.泥質部ほど吸着力が強い粘土鉱物が多く,海水の成分をよく保持した可能性が考えられる.しかしながら,2019年に同一地点で新たに採取した試料については,水溶成分に加え,炭酸塩成分についてもほぼ全ての層準において海水の影響を示す同位体比は認められなかった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2018年度に実施した研究で,Nd同位体比について,河川堆積物に関しては,吸着成分に河川水の値が保存されることが確認されたが,2019年度に行った海水懸濁物に関する検証実験は,想定とは異なる結果となってしまった.原因として,懸濁粒子自体が極微細で海水溶存成分の起源であることが考えられる.従って,より粗粒な底質を対象に追加実験を行う必要がある.陸上津波堆積物については,2014年試料の水溶成分のSrについては期待に沿う結果は出たが,2019年試料については想定外の結果に終わってしまった.鉄マンガン酸化物成分についてはまだ同位体比を測定していないが,この結果を翻す値が出ることは想定しにくい.津波堆積物識別のツールとしては戦略を練り直す必要がある.以上のことから,想定よりは若干遅れがあると判断される.

Strategy for Future Research Activity

懸濁物で確認できなかった,海水の値の鉄マンガン酸化物成分への反映の検証をより粗粒な堆積物を用いて確認する.海浜堆積物を利用することを考えている.利根川河川水と黒潮による外洋水とのコントラストが得られる鹿島灘南部での試料採取を予定する.また,当初予定していた通り,鉄水酸化物を人工的に生成し,その中に周囲水のSr-Nd同位体比が保存されることを確かめる実験を行なう.研究を実施ししながら,河川堆積物と河川水の対応関係など,ある程度結論の出たものから論文化を推進する.

Causes of Carryover

津波堆積物試料の研究では当初Nd同位体比も測定する予定であったが,Sr同位体比を測定した段階で想定外の結果となり,Nd同位体比の測定は保留とした.その分,処理に用いる薬品代,機器利用費に余剰が生じた.
翌年度以降,追加試料の測定に用いる消耗品及び機器利用費として使用する予定である.

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Sr同位体比による津波堆積物の識別2019

    • Author(s)
      齋藤 有・松本 弾
    • Organizer
      第9回 同位体環境学シンポジウム

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi