2019 Fiscal Year Research-status Report
低気圧性降雪に起因する表層雪崩予測に向けた降雪のかさ密度変化過程に関する研究
Project/Area Number |
18K03766
|
Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
山下 克也 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 特別研究員 (30772925)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 降雪粒子の物理特性 / 降雪のかさ密度 / 新積雪のかさ密度 / 雲物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度に引き続き、落下中の降雪粒子の物理量変化を把握するための標高の異なる2か所での降雪粒子観測、及び雪水比と新積雪のバルク密度の関係式を作成するための積雪深と降水量の雪氷研露場での観測を一冬期実施した。 降雪粒子が落下する気象場環境を把握するための、多波長マイクロ波放射計、マイクロレインレーダー、Xバンドレーダーを用いたリモートセンシング観測も平成30年度に引き続き一冬期実施した。 平成30年度に観測したデータの解析、及び2高度の降水粒子が同じ降水システムからのものかどうかを客観的に判断するための方法を検討するために気象庁レーダーと雪氷研Xバンドレーダーの降雪雲分布データを整理した。この結果を気象学会秋季大会で発表した。 降雪のバルク密度に変化を及ぼす雲微物理過程の寄与率解析に使用する詳細雲微物理モデル計算に向けて、モデルに入力する気象要素や初期の降雪粒子粒径分布のデータ品質チェックを行い、問題ないことを確認した。この内容を2020年度エアロゾル・雲・降水の相互作用に関する研究集会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、①観測値を用いた降雪粒子の物理量と降雪のかさ密度の相互関係の明確化、②地上リモセン観測で得られた温湿度や降雪の鉛直分布から降雪粒子の落下速度を変化させる雲微物理過程を明確化、③一次元の詳細雲微物理モデルを開発し、観測時の落下中の降雪粒子に変化を及ぼす雲物理過程の寄与率の明確化に取り組んでいる。 ①に関しては、昨年度同様に一冬期の観測を実施し、昨年度取得したデータの解析を行った。かさ密度の地上観測値を用いた推定が降雪の深さと降水強度あるいは積雪重量と積雪深差を用いることで推定可能であること、降雪粒子の落下中の変化を取り扱えるデータが取得できていることが確認できた。 ②に関しても、昨年度同様に一冬期の観測を実施し、昨年度取得したデータの品質チェックを行った。品質チェックより落下速度変化を議論できる気象環境データが取得されていることが確認できた。また、モデル試験用に入力用のデータセットも作成した。 ③に関しては、詳細雲微物理モデルの一次元化に取り組んだが、完成に至らなかった。 以上の進捗状況と研究計画を照らし合わせると、①と②はおおむね順調に進展しているが、③が令和元年度の予定通りには進んでいない。このことより、進捗状況はやや遅れているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
詳細雲微物理モデルの一次元化が遅れているので、令和2年度前半は後れを取り戻すようにモデルの改良に集中する。データ解析に関しては、令和元年度に作成したデータ解析ツールを有効活用して効率的な解析を行う。秋までにデータ解析を終わらせ、その後、完成した一次元モデルを用いて降雪のかさ密度に変化を及ぼす雲微物理過程の寄与率を算出し、降雪粒子の物理量とかさ密度の関係を明確化する。
|