2018 Fiscal Year Research-status Report
北西太平洋地域の更新統における標準的複合年代尺度の構築
Project/Area Number |
18K03771
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
亀尾 浩司 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (00312968)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 広樹 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (80399360)
久保田 好美 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究員 (80710946)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 複合年代尺度 / 石灰質ナノ化石 / 北西太平洋 / 浮遊性有孔虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
この学術研究助成基金の研究では,本邦周辺の第四系を対象とする複合年代尺度を構築するため,房総半島に分布する第四系を検討している.平成30年度は,房総半島に分布する上総層群のうち,黄和田層から梅ヶ瀬層を対象として,調査,試料採取,石灰質ナノ化石,浮遊性有孔虫化石の検討,および酸素同位体比の測定を行った.これらの検討はほぼ予定通り進めることができ,年度の終わりには論文として発表できるまでのデータが出そろった.本年度の検討の結果,得られた同位体変動曲線は,世界的な標準曲線とよく対応が付き,黄和田層および梅ヶ瀬層における年代モデルを作成することができる.酸素同位体曲線を中心とし,そのほかの年代層序学的データを用いると,梅ヶ瀬層で約90万年前頃,黄和田層で110万年前頃における高精度の年代尺度が確立される.併せて検討した石灰質ナノ化石と浮遊性有孔虫化石の検討によれば,第四系の石灰質ナノ化石基準面のうち,有用な2つの化石基準面(大型のGephyrocapsaの上限とReticulofenestra asanoiの上限)が対応する海洋酸素同位体ステージを明らかにすることもできる.また,石灰質ナノ化石と浮遊性有孔虫化石の群集変化に基づいて,黄和田層および梅ヶ瀬層堆積時の表層海洋環境を復元することも可能であり,本邦太平洋側を流れる主要な海流である黒潮と親潮の変遷を議論するのに十分なデータを得ることもできている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に取り扱った地層群は,当初の予定通り,黄和田層と梅ヶ瀬層である.それぞれの地層のすべての層準を検討したわけではないが,化石基準面の評価や古海洋環境を考える上ではもっとも重要な層準を検討することができたので,順調に進んでいると判断できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年)は,平成30年度に引き続き,黄和田層のほかの層準及び大田代層の検討を行う.上記の通り,研究計画は予定どおり進んでいるので,方針や方策を変えることなくすすめることができると考えている.
|
Causes of Carryover |
計画が順調に進み,当初の物品費よりも少ない額で実験を行うことができたため,若干の余剰金ができた.ただし,次年度にて物品費にて使用する見込みである.
|