2020 Fiscal Year Research-status Report
数値シミュレーションに基づいた誘発地震の発生メカニズムの研究
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18K03775
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 真吾 東京大学, 地震研究所, 教授 (20202400)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 法線応力に依存するNagata則 / 地震のトリガー / 2016年三重県沖地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
由布院断層域では2016年の熊本地震からの地震波通過中にM6クラスの地震が誘発された.このような誘発地震発生のメカニズムを明らかにするため,数値シミュレーションと観測データとを比較しながら調べる.誘発地震は静的及び動的応力変動によって引き起こされるので両者の影響を取り入れシミュレーションを行う.Yoshida(2017)が示したように,動的応力変動および静的応力変動の両者が働く場合,小さな応力変化でも誘発効果が非線形的に大きくなる場合がある.摩擦則は我々の研究室で求めた,実験データを従来の摩擦則より再現できるNagata則(Nagata et al., 2012)に用いており,信頼性の高いシミュレーションが可能である.本研究ではさらに,法線応力変動の影響も取り入れたものに拡張した.実際の地震による応力変動を,震源モデルに基づき不均質構造における波動場を計算して求める.2020年度は, 2016年4月1日に三重県南東沖で発生した地震が,プレート境界浅部で発生したスロースリップイベントをトリガーした可能性を示した.その成果をEarthquake triggering model based on normal-stress-dependent Nagata law: Application to the 2016 Mie offshore earthquake, S. Yoshida, T. Maeda & N.. Kato としてまとめ,3月にEPSに投稿し,9月に受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果をEarthquake triggering model based on normal-stress-dependent Nagata law: Application to the 2016 Mie offshore earthquake, S. Yoshida, T. Maeda & N.. Kato としてまとめ, EPSに投稿し9月に受理された.
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Strategy for Future Research Activity |
より現実的な摩擦パラメータを設定し,スロースリップイベントのトリガーのシミュレーションが行えるように計算コードの改良を行う.また,2011年東北沖地震の余効すべりによりトリガーされたと考えられる釜石沖の繰り返し地震について,シミュレーション結果を観測されたデータと比較検討を行う.
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Causes of Carryover |
R2年度はスロースリップイベントのトリガーのシミュレーションが行えるように計算コードの改良を行っていたが,まだ継続中である.R3年度は改良した計算コードでシミュレーションを実施する.そのため,高速高性能のワークステーションを購入する.
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