2022 Fiscal Year Annual Research Report
Studies of tsunami and storm deposits in NE Japan and Bangladesh.
Project/Area Number |
18K03778
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
保柳 康一 信州大学, 学術研究院理学系, 特任教授 (30202302)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ストーム堆積物 / 津波堆積物 / 南相馬市 / バングラデシュ / BGMデルタ / 海水準変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年の12月に研究最終年度ではあったが,バングラデシュの沿岸域でこれまで調査をおこなっていない南東部のコックスバザールから南の海岸線に沿った約25 kmをラジシャヒ大学のハック博士と調査をおこなった.しかし,この地域は人口が多く,人工的な改変が進み,研究の主目的である過去のストーム堆積物や津波堆積物を探し出すことは難しいと判断された.一方,この地域の海岸の前浜堆積物には,様々な重鉱物が含まれ,その組成変化の研究は後背地情報と沿岸における移動,運搬に関する情報の解析に重要である.そこで,この地域の前浜の砂を中心に調査および試料採取を行った.また,コックスバザールの海岸砂鉱物開発センターを訪問して,カリム所長から海浜堆積物中の重鉱物に関する情報を得た.さらに,ラジシャヒ大学地質鉱山学部において,これまでの研究成果などを発表し,学部の教員,研究者と意見交換をおこなった.今回の調査と訪問から,汚染物質移動の解明などの応用も含めたデルタ沿岸部での物質移動研究へ進める糸口が得られた. 12月に採取した試料などを持ってハック博士が2023年1月に来日し,信州大学にて海岸砂はレーザー回析粒度分析計により粒度分布を,泥質試料については全有機炭素量,安定炭素同位体比および全イオウ量を約1週間かけて分析した. この研究期間5年間の研究成果として1)2019年度に「堆積学研究」誌に南相馬市小高地区の完新世の環境変動と津波堆積物,2)2021年度,「The Holocene」誌にバングラデシュの過去1000年間の海水準変動,3) 2021年度,「Marine Geology」誌にバングラデシュのストーム堆積物, 4) 2021年度,「Progress in Physical Geography 」誌にバングラデシュの海岸変遷,以上の英文論文4編を公表した.
|