2018 Fiscal Year Research-status Report
地震波速度構造のX-不連続面から予言されるマントル中の化学不均質
Project/Area Number |
18K03792
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小野 重明 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋掘削科学研究開発センター, 主任研究員 (20313116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | X-不連続面 / シリカ / 高温高圧実験 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、深さ300kmのX-不連続面の成因についてのいくつもの仮説が提案されてきた。しかしながら、決定打となる研究結果に到達することはなかった。その理由は、これまで得られた物質科学データの精度が不足していたため、それぞれの仮説が地震波観測データを満足させることができるかどうかの判断が困難であったためである。本研究課題では、最有力と考える「シリカ鉱物構造相転移」仮説を検証する。地球科学における、この第一級の問題に対して、理論研究と実験研究を有機的に結びつけて、解明を試みることを目標とする。 1年目の計画では、実験手法の立ち上げと計算手法の確立の2つが大きな目的であった。実験手法の立ち上げについては、すでに終了し、実際の実験を開始した。実験出発物質は、合成した玄武岩の化学組成を有し、ゾルゲル法で作成した極めて均質な物を用意した。実験手法に関して、従来と大きく異なっている点は、X線その場観測に適したセル構成デザインを開発したことである。実験データについては解析中であり、解析結果を考慮して、今後はどのような温度圧力条件でその場観測実験を行うかを決めたい。 計算手法の確立については、第一原理分子動力学法を用いれば、高温高圧条件下において信頼しうる物性データが取得できることが確認できた。2年目以降は、この計算手法を使って、シリカ鉱物が構造相転移を起こすと予想されている深さ300kmに相当する圧力10ギガパスカル付近の極限条件での物性データを見積もる計算を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目に予定していた放射光施設でのX線を利用したその場測定実験を1年目に開始することができた。その結果、予定より数ヶ月分先行して研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験に関する部分が予定より先行して研究が進んでいるため、当初の想定より、多くの時間を計算シミュレーションへ費やすことができる。そのため、シリカ鉱物の高温高圧物性をより精密な計算によって見積もる方向へ、今後の研究計画をシフトする。
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