2020 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between seismic X-discontinuity and chemical heterogeneity of mantle
Project/Area Number |
18K03792
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小野 重明 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), センター長 (20313116)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | X‐地震波不連続面 / シリカ鉱物 / 構造相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
マントル中の地震波速度構造において、複数の速度不連続面が存在することが知られている。この速度不連続面は、マントルの物質科学情報を得るための重要な情報源である。上部マントル中の深さ300km付近にX‐不連続面の存在が報告されていて、その成因は明らかにすることが本研究課題の目的である。3年目に予定していた実験研究の一部が、コロナ禍の影響でスケジュールが大きく遅れたが、遅れた部分に関して量子力学シミュレーションで補完するなどの工夫で、今年度の成果のまとめを行った。補助事業期間全体としては、ほぼ予定通り研究が進み、当初想定していた成果が創出できたと考えている。研究目的としては、我々が提案している「シリカ鉱物構造相転移」仮説の検証であり、そのために相転移圧力境界の精密決定を進めた。ターゲットとなるシリカの高圧相のコーサイトとスティショバイトの熱力学的安定領域を確認し、そのデータから相境界を見積もった。その見積もりには、量子ビームを利用したX線関節実験の結果と量子力学シミュレーションによる計算結果の両方を利用した。その結果は、深さ300kmでマントル中での断熱温度勾配を仮定した温度に相当する条件で、シリカ鉱物の相転移が起こることが確認された。特に、過去の実験研究の一部には、相転移にともなうカイネティクスの影響が大きく、相転移境界に見積もりに大きな誤差が含まれ、仮設の検証には利用できないことが明らかになった。この研究プロジェクトで得られたデータは、「シリカ鉱物構造相転移」を支持するものである。研究成果の一部は、すでに学会や研究集会等において報告したが、現在、3年間の研究データの総まとめを行い、論文を執筆中であるため、研究期間終了後に研究成果を論文として公表する予定である。
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