2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the deformation mechanism around and between active faults
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18K03795
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福島 洋 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (80432417)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地震性断層すべり / 非地震性断層すべり / 副次的断層 / 断層クリープ / InSAR / InSAR時系列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、2011年4月のいわき地震(M7)震源域周辺地震後の航空機レーザー測量データの解析について、データの制約から当初期待されていた解析ができなかったことを受け、研究計画を若干軌道修正した。 今年度はまず、レイテ島を縦断するフィリピン断層で2017年に起きた地震(M6.5)とその地震の断層すべりの両端の非地震性すべり(断層クリープ)の関係について、さらには過去の同地域で発生した大地震との関係について、地震波解析に専門性を持つ研究者等の協力も得て、昨年度実施内容からさらに詳細な解析を実施した。その結果、地震前に固着していた断層面上の範囲(固着域)と2017年の地震のすべり域が一致しており、さらに、このすべり域は70年前のM6.9程度の地震のすべり域にもなっていたことを示唆する結果が得られた。この結果は、連続性がある断層であっても、その面上は地震(高速)すべりを起こす領域と起こさない(常に低速ですべる)領域の棲み分けがあるというモデルを支持している。 また、2016年熊本地震に伴い副次的な活動が認められた断層について、詳細な解析を昨年度に引き続き実施し、すべり分布インバージョンを行った結果、副次的な断層すべりは深さの加減が1km程度と浅いところにとどまっているということや、ごく浅部で断層が分岐したいわゆるフラワー構造の断層すべりが起こっていたことを示す結果が得られた。この結果は、副次的断層には横方向の連続性や深部構造が欠乏していることを示唆している。 さらに、非地震性のわずかでゆっくりした変形の検知能力の向上のため、イギリスの研究グループにより開発されたInSAR時系列解析コードを用いて、日本の複数領域の活断層周辺の変形検出を試みた。本解析では、欧州のSentinel衛星(Cバンド)のデータを利用したため、植生のある領域でのシグナル抽出に限界があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、本年度は本格的な有限要素解析を実施する予定であったが、まだ着手できていない。これは、フィリピン断層の解析、熊本地震の副次的断層すべりの解析、InSAR時系列解析の高精度化に優先的に取り組んだためである。当初の計画と比べて遅れているところと当初の期待以上の成果が出ているところがあり、全体的には、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
InSAR時系列解析の検出精度向上に引き続き取り組む。具体的には、Cバンド衛星データの解析では、かなり高頻度で撮像されたデータセットを用いても植生がある領域でシグナル抽出に限界があることが明らかとなったため、植生に強いLバンド衛星データで解析ができるようにプログラム開発に取り組む。 2016年熊本地震の副次的断層すべりについて、さらに詳細な解析を進め、論文として成果をとりまとめる。 また、InSAR時系列解析の結果を定量的に解釈するのに重要な有限要素解析にも取り組み、当初の目的通り、断層の「端」と「間」に着目した変形様式の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
主として、有限要素解析のためのメッシュ作成ソフトウェアライセンス料、研究成果公表のための旅費、研究解析補助(リサーチ・アシスタント)代として使用する。
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Research Products
(9 results)