2023 Fiscal Year Annual Research Report
Unraveling the seismic anisotropy at the shallow part of oceanic plates in the Pacific Ocean
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18K03813
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
利根川 貴志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震発生帯研究センター), 主任研究員 (60610855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 究 東京大学, 地震研究所, 教授 (10345176)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異方性構造 / 日本海溝 / 海底堆積物 / 海洋性地殻 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、日本海溝周辺に設置された日本海溝海底地震津波観測網(以下、S-net)のデータを使い、海溝陸側において、上盤プレートの海底堆積物の異方性構造を推定した。その結果、日本海溝から千島海溝にかけて、S波の速い軸が系統的に変化していることがわかった。これは、2011年東北地方太平洋沖地震の余効滑りやその不均質な分布の影響を受けていると解釈できる。つまり、本研究で推定した異方性構造は不均質分布によって形成された上盤プレート上部の応力場を反映していると考えることができ、現在の上盤プレートの応力場の理解につながる重要な観測結果を得ることに成功した。 本課題におけるこれまでの研究で、日本海溝海側の太平洋プレート上部の異方性構造を推定してきた。ここでは、海底堆積物だけでなくその下の海洋性地殻の異方性構造の推定も含む。両層の速い軸はほぼ海溝軸に平行と推定され、これは、アウターライズ域での太平洋プレートの折れ曲がりによるものと解釈できる。つまり、折れ曲がりによって、海溝軸の垂直方向に伸張場が卓越し、クラックや正断層が形成される。本研究で得られた異方性構造はこのような構造およびそれを形成した応力場を反映していると考えられる。また、観測点によっては海溝軸方向に斜交する結果も得られたが、そちらは太平洋プレート形成時に作られた弱面が、プレートの折れ曲がりによって再活動した結果と解釈することができる。 本課題の結果から、日本海溝を横断して異方性構造を推定することに成功し、両側の異方性構造はそれぞれ別の要因で形成されていることがわかった。特にプレート境界地震と上盤プレート上部の異方性構造の関連を指摘したことは重要で、今後より研究を進める価値があると期待される。現在これらの結果をまとめた論文を投稿中である。
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Research Products
(4 results)