2021 Fiscal Year Research-status Report
Stress state in accretionary prisms from the real-scale numerical sand-box experiment
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18K03815
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
古市 幹人 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), グループリーダー (50415981)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 付加体 / 岩石3軸圧縮実験 / DEM / HPC / 堆積層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は付加体形成を模擬した粒状体層の3次元シミュレーションを実施するものである。シミュレーション手法としては個別要素法(DEM)を用いており、大規模粒子計算が特徴である。本研究では2つのアプローチを採用している。ひとつは付加体形成を模擬する室内砂箱実験を忠実に再現することで、物理実験では困難な内部応力状態の遷移を解析すること。他方は実際の岩石破壊実験と等価な力学特性を持つ供試体を作成し、付加体形成をより直接的に模擬するアプローチである。本年度は後者の岩石破壊実験の模擬において大きな進捗があった。 DEMによる粘着モデルを改良し、岩石の3軸圧縮実験によって得られる破壊包絡線の再現に取り組んだ。同様のDEMにおける粘着モデルの欠点として法線と接線方向に各々働くばね乗数や曲線関数、有効距離、摩擦係数等、パラメーターが多くキャリブレーションが困難となることが挙げられる。そこで我々は室内実験と等価な数値3軸圧縮実験シミュレーションによる各パラメーターの感度解析実験を行った。その結果、粘着モデルにおいて全強度と、引張―圧縮強度の比を支配する二つのパラメーターによる影響が特に顕著であることを突き止めた。これにより、岩石特性として解釈可能な範囲での任意のMohr-Coulomb則に従う堆積層強度を再現可能となった。またこの知見により作成可能となったDEM供試体を数値付加体実験に使用するために、周期境界を課した供試体作成を作成した。その際、従来の手法より計算コスト及び工数が少ない手法を開発している。さらに、このような供試体の単位サイズがそれらを接続して模擬する、ランダム充填な粒状体の強度に対してどのような影響を与えるのかを調査し、単位サイズに対する収束性を定量的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍があり、海外での成果発表は大幅に遅れた。また昨年度に、技術的困難から室内実験との直接比較を取りやめた影響があり、本課題が想定していたシナリオでの成果創出も遅れている。ただし、DEM技術開発に伴う論文発表があり、また岩石性状を模擬したDEM供試体の開発は計画以上の進捗であるため課題全体としての研究進捗には大きな問題はないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度において、岩石性状を模擬したDEM計算による数値付加体形成実験を実施する。
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Causes of Carryover |
昨年度同様、コロナの影響があり国際会議への参加が困難となったため、米国、英国、ルクセンブルク等の訪問で予定していた旅費の使用がなかった。状況が改善されれば訪問する予定であるが、そうでない場合もリモート参加する予定である。またデータ解析のためのストレージ及び計算機の整備、および論文出版に繰り越した費用を充てる予定である。
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