2019 Fiscal Year Research-status Report
中期白亜紀の劇的な古海洋変動に伴う珪藻生物圏の進化的応答
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18K03818
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 智恵子 (嶋田智恵子) 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 協力研究員 (60597186)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 珪藻化石 / 白亜紀 / 北海道 / 北西太平洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生代以降の水圏において最も成功した一次生産者である珪藻は,分子生物学と最古だという化石の存在から,中生代の初期に出現したと推測されている.しかし,堆積物中の化石の保存は古いほどに悪くなるため,この頃の化石記録だと断定できる直接証拠は全く得られておらず,珪藻の最初期の進化については全くわかっていない.一方で,信頼できる珪藻の化石記録は,白亜紀の堆積物から細々と得られてきたが,それでも,白亜紀の中期,特にセノマニアン期およびチューロニアン期については,その前後の時代に比べると著しく産出報告が少ない.これは当時の特異な海洋条件(超温暖化や無酸素環境)との関連も示唆されるが,詳細は不明である. 本研究課題の目的は,本邦より産出する白亜紀の中期の珪藻化石を抽出・記載し,その古生物学的・古海洋学的な意義について議論することである.2019年11月末,本研究課題の核心的な対象地域である北海道北部天塩中川地域の中川町自然誌博物館に赴き,白亜紀中期チューロニアンおよびセノマニアン期の含アンモナイト化石炭酸塩コンクリーション試料を提供抽出処理を行った.また,別の共同研究者から,同じく北海道北西部の羽幌地域および中央部の夕張地域から,メタン冷湧水による自生炭酸塩岩試料を提供していただき,珪藻化石の抽出処理を行っている.これらのうちから珪藻化石の産出を確認することができた.その他,2019年6月と2020年2月(上旬)には,日本古生物学会に参加し,同業研究者と情報交換を行った. 以上のように当該年度は,計画にのっとり,珪藻化石を産出する試料の収集と検鏡を粛々と行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で記したように,計画したペースで試料の収集や検鏡を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
すでに処理と検鏡を終えたチューロニアン期試料について,国際学術雑誌にて公表すべく原稿の作成を開始する.
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Causes of Carryover |
少額につき,次年度に繰り越して物品または旅費に充当する予定である.
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