2021 Fiscal Year Research-status Report
中期白亜紀の劇的な古海洋変動に伴う珪藻生物圏の進化的応答
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18K03818
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 智恵子 (嶋田智恵子) 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 協力研究員 (60597186)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 珪藻 / 白亜紀 / 進化 / 古海洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
こんにちの水圏において生態学的に最も成功した一次生産者である珪藻にとって,中生代とは分類群としての成立期にあたり,この時代の化石記録を検討することは珪藻の進化史を理解する上で極めて重要である. しかし,中生代(事実上は白亜紀)珪藻の化石記録は,新生代のそれに比べて一般に限られており,とりわけ,白亜紀の中頃(概ねセノマニアン期~チューロニアン期;約1億~8980万年前)については絶望視されてきた.一方,申請者らはこのほど,北海道北部天塩中川地域に産出するセノマニアン・チューロニアン両期の含アンモナイト化石炭酸塩岩にそれぞれ珪藻化石を見出し,群集の分類群組成間に著しい差異を認めた.すなわち,本申請研究の目的は明解であり,(1)これらの珪藻化石群集を詳細に観察・記載し,報告すること,そして,(2)白亜紀の中頃に予想される例外的な古海洋変動への珪藻生物圏の進化的応答について,この群集組成差の要因に注目しつつ深く考察することである. 本研究では今年度までに,日本地質学会の学術誌「地質学雑誌」において,天塩中川地域から得られたセノマニアン期の珪藻化石群集について報告した(後述業績欄).セノマニアン期の珪藻化石群集は,主に円筒状および円盤状の形態を持つ分類群から構成され,それ以前の時代(前期白亜紀アルビアン期)の群集に強く類似する一方,後期白亜紀の群集との共通点は持ち合わせはするが僅かであった. 現在,チューロニアン期の珪藻化石群集について論文を投稿すべく鋭意執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究について代表者は,(1)セノマニアン期珪藻化石群集および(2)チューロニアン期珪藻化石群集について,それぞれ査読付き学術雑誌に報告することを最低限のノルマと考えていた.(1)については完了し,(2)についても今年度中に達成する見込みがあるので.自己評価としては「可」としたい.
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように本研究の2つの大きな課題((1)セノマニアン期珪藻化石群集および(2)チューロニアン期珪藻化石群集について査読付き学術雑誌に公表すること)の後半(2)について集中する. 残りの時間を,国際学術雑誌に公表すべく鋭意努力する.
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Causes of Carryover |
当該年度は対面による学会発表への参加を見合わせたため,剰余が生じた. 次(R4)年度は本研究課題の最終年度にあたるため,主に成果のまとめや公表に必要な経費(ソフトウェアの購入費や,国際学術雑誌への投稿料,学会に参加するための旅費など)として使用予定である.
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[Journal Article] Late Cretaceous diatoms (Bacillariophyta) from the Teshio-Nakagawa area, Hokkaido, northern Japan: Significance for their origin and biostratigraphy2022
Author(s)
Shimada, C., Saito-Kato, M., Jenkins, R.G., Yamasaki, M., Tanaka, Y. and Hikida, Y.
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Journal Title
Paleontological Research
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access
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