2019 Fiscal Year Research-status Report
インドネシア海峡の閉鎖が及ぼすスーパーエルニーニョ型海洋環境の消失
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18K03819
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
上栗 伸一 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00612152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 孝 茨城大学, 教育学部, 教授 (10272098)
西 弘嗣 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (20192685)
岩井 雅夫 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (90274357)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インド洋 / 前期中新世 / 放散虫 / 新化石帯 / 新種 |
Outline of Annual Research Achievements |
放散虫は低緯度で種の多様性が高く、新第三紀の海底堆積物の層序的対比に最適な微化石群の1つである.新第三紀の熱帯放散虫生層序帯状分布の基本的な枠組みは、Riedel and Sanfilippo(1970)とNigrini(1971)によって確立され た.インドおよび太平洋において中新世後期から更新世初期までの生層序イベントの同期性は調査されているが,前期~中期中新世のそれはあまり知られていない.前期~中期中新世の放散虫生層序学は主に熱帯太平洋で研究されてきた.熱帯インド洋では、Sharmaとその共同研究者がのアンダマンニコバル諸島の堆積物に基づいて研究しているが,放散虫化石の保存が悪く,シークエンスが不完全であり,また石灰質微化石の保存性も低いため、放散虫基準面の年代が不明のままである.中央インドODPサイト714から掘削された堆積物にはよく保存された放散虫化石が豊富に含まれている.新第三紀下部の詳細な生層序学的研究により、多くの放散虫生物イベントを認定し,それらと石灰質のナノ化石および浮遊性有孔虫生層序との正確な相関を得ることに成功した.前期~中期中新世の熱帯インド洋において認定された64の放散虫基準面のうち、21は明らかに同期的またはほぼ同期的であった.これらの放散虫基準面は、熱帯インド洋から太平洋までの下部新第三紀シーケンスの層序対比と堆積年代決定に有用な情報を提供する.サイト714で調査された間隔は、RN6からRN2までの5つの放散虫化石帯に分割された.詳細な研究によって,これらの化石帯のうちRN5、RN4、およびRN3が、Calocycletta costataとCarpocanopsis cingulataの消滅イベント、およびLiriospyris stauroporaの出現イベントに基づいて、新たに細分割された.さらに分類学的な研究を進め,2つの新種を記載した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響で,大学内の仕事が急激に増え,その対応に追われたこと,その影響で在宅勤務になり実験室の使用も禁じられているため,研究がやや遅れている.現在はインド洋Site714の研究を終え,論文も投稿できる段階にあるが,次の試料の分析に取り掛かることができないでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
次の研究試料を用いた研究を進める上で,必要な情報の収集を行うとともに,現在までに論文化していないデータの整理・執筆にとりかかりたい.今後,いつまで実験室の使用制限がかかるか不明であるが,今後スムーズに研究が進められるよう準備を行っていきたい.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で,学内の仕事が大幅に増えてその対応に追われたことが大きな理由である.次年度も実験室の利用が禁止されているため,研究遂行の目処が立っていない.予定では,新たな試料をリクエストし,分析を行った上で,Site714とのデータ比較を行い,インド洋東部の環境を復元する.
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Research Products
(7 results)