2021 Fiscal Year Research-status Report
Biostratigraphic distribution of marine vertebrates in the Japanese Upper Cretaceous
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18K03822
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
佐藤 たまき 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90466912)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 化石 / 白亜紀 / 脊椎動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も新型コロナウイルスの影響により国内外の移動が厳しく制限されたため、科研費による実施を予定していた国内の野外調査・博物館訪問調査、及び海外の博物館訪問調査・学会出席などがかなわなかった。また、本務先における授業などの研究以外の業務への影響も続いたため、研究時間の確保に苦労した。そのため、科研費を用いる機会は文献の取り寄せや、国内標本の運搬に関わるもののみにとどまった。 しかしながら、コロナ以前に収集した標本や研究機関からの借用標本を活用することによって、北海道中川町産の産出したサメ化石の記載論文を査読誌に出版することができた。この論文は上部白亜系蝦夷層群サントニアン~カンパニアンの2つのロカリティから産出した合計51点のサメの歯の化石を記載・分類し、堆積環境の違いや生物地理を論じたものであり、北西太平洋では初の報告となる Protosqualus を含む多様なサメ類の存在が示された。また、ツノザメ類 Squaliformes の深海環境への適応がカンパニアン前期までに起きていたことや、北米やヨーロッパの同年代の地層から知られるサメ化石相との違いが示された。 このほか、転石として採集されることの多い蝦夷層群産の断片的な脊椎動物化石の年代を決定するために、その化石含むノジュールの年代を微化石を用いて特定する試みを行った。北海道中川町と小平町産の様々なロカリティ(正確な産地不明の標本を含む)から産出した合計7点の標本のノジュールを分析したところ6点から放散虫が抽出され、ある程度の年代測定が可能であるが、含まれる放散虫化石の層序分布にギャップが生じるケースや、ノジュールによる放散虫の保存状態の差が大きいことも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年より、新型コロナウイルスの影響によって国内外の出張を伴う野外調査・博物館訪問調査に著しい遅れを生じている。また、研究代表者の所属の異動の影響も若干ある。しかし、2021年度に導入した3Dスキャンや、感染拡大の隙間を縫っての短期間の国内出張、国内研究機関からの標本の借用などである程度のフォローはできており、既に得られた情報の分析は進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は新型コロナウイルスに配慮しながら、2020年度・2021年度に中断されたままになっている出張を伴う活動が再開できるものと見込んでいる。今度こそ本研究計画の最終年度となることを見越して、野外調査や博物館訪問による追加のデータ収集を急ぎつつ、論文執筆を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、予定していた国内野外調査や、国内外の博物館訪問を伴う標本調査に著しい制限があった。前年度に購入した3Dスキャナーの使用や限られた国内出張などからある程度のデータは得られたものの、データの精度などの問題も明らかになった。コロナ3年目となる2022年度には感染拡大への対策を取りながらの出張が可能になると見越して繰り越す判断をした。 予想通り今年度は2020年度・2021年度に比べて国内外の移動がしやすくなる見込みであることから、国内の野外調査と標本調査、可能であれば海外研究機関の訪問調査や学会発表などを積極的に行いたい。
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Research Products
(3 results)