2021 Fiscal Year Research-status Report
Wear characteristics of C/C composite materials with cellulose nano fibers under high temperature and electric current condition
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18K03832
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| Research Institution | Fukushima University |
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Principal Investigator |
小沢 喜仁 福島大学, 共生システム理工学類, 客員教授 (00160862)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 嗣 秋田大学, 電動化システム共同研究センター, 特別教授 (00154261)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 複合材料 / セルロース微細繊維 / 摺動特性 / 高温・高電流環境 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では，C/Cコンポジットの直流電動機の整流子やブラシとしての実用化を目指して，電流環境下で用いられる摺動材料に求められる熱的および電気的特性について実験・理論両面から評価を行い，最適な材料構成と成形法を探索した．
前年度に開発された，第3成分として1μm銅粉末を含有するCu/mBC-C/Cコンポジットの性能向上を目的とし，添加した銅粉末の材料内での分散性向上を目指した．Cu/mBCゲルを自然乾燥させた試料に関するSEM観察の結果，BC繊維網によって銅粉末をトラップさせることが可能であり，材料内の均一な分散性の向上を確認した．コンポジットのしゅう動試験の結果，BC繊維量を増加させると摩擦・摩耗特性が低下する傾向がみられた．銅粉末の添加量を30vol%に増加させたCu/mBC-C/Cコンポジットでは，電気抵抗率は電気黒鉛質ブラシと同程度の10^(－5)の値まで低下し，比摩耗量も10^(－9)のオーダーとなった．材料作製過程でのき裂や空孔の発生を抑制するためのさらなる成形法改善が進め，しゅう動特性と導電性の向上の両視点から銅粉末の添加量について最適値を求める必要がある．
さらなる実用化としてC/Cコンポジットによる皮膜成形法の開発を目指し，回転軸や駆動軸として利用されている機械構造用炭素鋼S45C等を基材とする場合について検討した．粉末積層法による皮膜成形におけるmBC-C/Cコンポジット粉末の粒径および含有量の変化の影響についての検討を行い，しゅう動特性の評価およびしゅう動面の観察によって最適な皮膜成形法を検証した．粒径が異なるコンポジット粉末を作製し，コンポジット粉末を混合したフェノール樹脂を化学エッチング処理した基材表面に塗布して皮膜を形成している．摺動試験の結果から，粒径が1mm以下の粉末の場合は皮膜を積層でき，優れたしゅう動特性を示すことを確認した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度においても新型コロナウィルス感染症への度重なる対応要請から，研究に携わる教員や学生の研究実施環境に大きな影響をもたらしている．制限された日程を利用しながら，mBC-C/Cコンポジットを標準材料として，さらに，第3成分の1μｍの銅粉末を添加した材料Cu/mBC-C/Cコンポジットの開発や，mBC-C/Cコンポジットを粉末化してマトリックス材であるフェノール樹脂に混合することで積層皮膜法の開発など，研究事業のまとめとしてさまざまな成果を積み上げてきている．
材料の熱的物性や電気的物性に関する弾性数理解析では，材料構成の違いに対応できる基礎的な力学モデルを構築している．開発した材料における微細な銅粉末の分散性は電気伝導や熱伝導，さらにしゅう動特性とも密接に関係することから，ナノセルロースであるBC由来炭素繊維とマトリックスの炭素材料，さらに第3成分の銅粉末との幾何学的関係である分散モデルにより影響を受ける．分散性の確認は大きな検討事項となっていた．本年度においては，積み重ねた結果を総合的に評価して，第3成分添加の影響も考慮した解析を行って，電気伝導や熱伝導の特性としゅう動特性の関係をさらに解明していく．
研究分担者とも研究者の交流制限のなか遠隔会議も適切に利用しながら，学内外でのグループでの検討会の開催，オンラインによる学会研究発表を行ってきており，これらの会議における専門家からのアドバイスも参照して効果的に研究を進めている．
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| Strategy for Future Research Activity |
研究再延長申請した令和4年度の研究計画にとしては，これまでに積み上げてきた実験結果や理論的な検討の研究成果を総合的に検討して，ナノセルロースとしてのBC繊維の強化メカニズムおよび分散性向上に関わる機能，第3成分添加による機能性発揮について弾性数理解析を用いた理論的検討を進めながら，ナノセルロースとしてのBC繊維を用いたコンポジットの可能性を示す．また，申請時に予定した研究項目の実施状況について確認するとともに，研究の実施において生じた新たな課題についても検証しながら，研究を遂行する．
(1) C/Cコンポジットの実用化に向けて，通電環境下における銅粉末を添加したCu/mBC-C/Cコンポジットの摩擦摩耗特性，熱的および電気的特性，さらにBC繊維の高次構造について得られた実験結果をもとに考察する．第3成分添加の影響を含め総合的に検討して，ナノレベルの繊維網構造と銅粉末の分散を模試できる力学モデルによる理論解析の妥当性を確認する．高出力の直流電動機の整流子やブラシの摺動材料を想定して，新規摺動材による摩擦摩耗設計の妥当性を総合的に評価する．
(2) 粉末積層法によるmBC-C/Cコンポジット皮膜成形法の改良としては，皮膜成形に成功した粒径1mm以下ばかりでなく，65μm以下，1μm以下のコンポジット粉末を含有した皮膜材の塗布によるS45C基材への粉末積層による皮膜形成に向けて成形法の改良に挑戦し，皮膜と被しゅう動材との摩擦面形成および摩擦摩耗特性へのコンポジット粉末の粒径と含有率の影響を明らかにする．
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| Causes of Carryover |
(理由)
令和3年において，国内外で開催予定の学会が遠隔での開催となったため研究成果発表のため出張旅費として経費使用予定がなくなったこと，研究代表者が学内で獲得した研究経費を優先させて使用したためである．実験に用いる樹脂などの消耗品に予めの準備があることから，研究分担者分も含めると次年度使用額は計189,494円となった．研究計画の実施おいては，新型コロナウィルス感染症対策の影響による若干の遅れがあるもののおおむね順調に研究計画の内容を実施して研究成果を積み重ねており，研究延長申請が認められた令和4年度の研究実施のための準備もできていると考えている．
(使用計画)
研究再延長申請した令和4年度の研究計画においては，これまでに積み上げてきた実験結果や理論的な検討の研究成果を総合的に検討して，ナノセルロースとしてのBC繊維の強化メカニズムおよび分散性向上に関わる機能，第3成分添加による機能性発揮について弾性数理解析を用いた理論的検討を進める．次年度使用額の使用計画としては，検討課題である第３成分の最適な分散状態を確認するための銅粉末の購入，東北地方で開催される学会での研究成果発表のため出張旅費の一部として使用する予定である．
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Research Products
(4 results)
