2018 Fiscal Year Research-status Report
印刷プロセスで固有ひずみ場を形成した4Dプログラマブル・シートの逆問題解析
Project/Area Number |
18K03838
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森本 卓也 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (30451660)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モーフィング / 形状記憶ポリマー / 熱弾性 / シート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は形状記憶ポリマーシート上に黒色パターンを印刷した局所部分の吸光により生じる熱ひずみでプログラムされた固有ひずみ場をサーモグラフィーカメラによる温度場の測定から特徴づけ,これによって誘起されるシートの面外変形の曲率変化との相関を見出すことである.その結果,シートの時間・空間的振る舞いを弾性理論により定式化することで,予測・制御可能な4Dプログラマブル・シートの実験的・理論的枠組みを構築することを目指している.本年度は,印刷プロセスで固有ひずみ場を形成した形状記憶ポリマーシートの局所吸光による形状(曲率)と温度の時間発展を計測する実験系の基礎を確立した.2台のCCDカメラとサーモグラフィーカメラにより撮像し,画像解析を通じて曲率と温度変化を算出することが可能となり,シート内の吸光領域が曲率変化に及ぼす影響を明らかにした.シートをプレート上に置いたフリー・スタンディングの条件では,負のガウス曲率を持った面外変形が常に誘起され,大きな面外変形へと移行することが確認された.一方,実験系を簡単化した理論モデルとして,シートの面外方向に一様で面内方向に非一様なひずみ場を生じるシートをモデル化し,面外変形を生じ始める臨界条件を求めた.その結果,シートの半径に対する厚さの比が0.1程度であっても,両者を比較するためには厚さ方向の熱伝導を考慮した,より実験条件に近づけた熱弾性モデルへと拡張する必要があることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画であった実験系の基礎を確立することができた.また,吸光により生じるミスフィットひずみを用いた弾性モデルを構築できた.実験と理論を比較するためには,厚さ方向への熱伝導解析を含めた熱弾性モデルが必要であることが明らかとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で構築したシンプルな理論モデルを実験と比較可能な理論モデルへと拡張し,形状(曲率・振幅・波数)を予測できる順問題の定式化を行うとともに,実験結果との比較・検証を進める予定である.同時に,本年度で構築した実験系をベースに,より高精度かつ効率的に形状変化と温度変化を測定できる画像解析の改良を行う.
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Causes of Carryover |
交付決定額の充足率に起因して,申請書に記載の物品費(サーモグラフィーカメラ)を補うために旅費・その他から流用したため.サーモグラフィーカメラは研究遂行に不可欠であるため,優先的に予算を割り当てた.その結果,成果発表計画を見直し,次年度使用額が生じた.これは次年度の成果発表に使用する計画である.
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