2019 Fiscal Year Research-status Report
印刷プロセスで固有ひずみ場を形成した4Dプログラマブル・シートの逆問題解析
Project/Area Number |
18K03838
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森本 卓也 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (30451660)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モーフィング / 形状記憶ポリマー / 熱弾性 / シート / 切り紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は形状記憶ポリマーシート上に黒色パターンを印刷した局所部分の吸光により生じる熱ひずみでプログラムされた固有ひずみ場と,それによっって誘起されるシートの面外変形の曲率変化との相関を見出すことである.本年度は,ポリスチレンシートをガラス転移温度以上で等二軸引張の予ひずみを与えた後に常温へ急冷したSMPシートを用いる.このシートを再びガラス転移温度以上に加熱すると与えた予ひずみに相当する回復ひずみを伴って収縮するため,シート内に部分的な黒色着色を施して赤外線を照射することで着色部の吸光による局所的な収縮を生み出し,面外変形を誘起することができる.本年度は,昨年度までに実施してきた円形シートとは別のアプローチとして,切り込みを入れた切り紙シートによるモーフィングの実験と理論による検討を行った.昨年度の円形シートによる結果を基礎にして,収縮するヒンジにSMPを適用することで平均曲率を持った曲げ変形を誘起することができる.赤外線の照射時間,着色部の平均温度,および収縮量が面外変形の曲率に及ぼす影響を系統的な実験により調査し,理論との比較を行った.その結果,切り紙シートでは,収縮領域が大きくなると曲率も大きくなり,収縮による圧縮変位量と曲率の関係は実験と理論でよく一致した.また,シートは加熱開始から数秒間は熱膨張による微小な曲率が生じ,一度平面のシート状態に戻った後に再び曲率が大きくなることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,円形シートとは別のアプローチである切り紙シートによるモーフィングの実験の実施と理論を構築を行い,両者の結果はよい一致を示すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施した切り紙シートは平均曲率を制御する問題であるため,ガウス曲率を制御する問題である昨年度実施した円形シートよりも理論と実験の比較結果が良好であった.今後は,円形シートの理論を実験結果と比較可能なレベルで構築し,時間履歴を予測する円形シートと切り紙シートによるプログラマブルシートを統一的に理解することをねらう.
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Causes of Carryover |
予定していた成果発表が取りやめになったため.今後は投稿論文による成果発表を推進することとして,英文校正費ならびに論文掲載料(オープンアクセス)などへ使用する計画とする.
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