2019 Fiscal Year Research-status Report
薄板構造体の超軽量設計を実現する形態・材料のパラメータフリー最適設計法の開発
Project/Area Number |
18K03853
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
下田 昌利 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00350570)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 形状最適化 / ミクロ構造 / マクロ構造 / マルチスケール / FRP積層シェル / 繊維配向角 / H1勾配法 / 均質化法 |
Outline of Annual Research Achievements |
製品の高性能化と厳しさを増す環境対策に対応するため、モノ創り、特に輸送機器の開発現場では構造体の抜本的な軽量化が求められている。同一材料を使用した従来型の軽量化は限界に近いとされ、材料を適所に配置するマルチマテリアル構造が注目されている。本研究はマルチマテリアル構造に不可欠な繊維強化樹脂(FRP)やセル構造(ポーラス材料)を含む多層薄板構造体を対象に、全体形状とFRP各層の材料配向、及びセル構造の内部形状を同時に求める最適設計手法の開発を目的としている。 今年度は昨年度着手したFRP積層シェルの繊維自由配向を設計変数とする強度設計問題と熱変形コントロール問題に対する手法を確立し、論文として発行させた。更に、動的問題として固有振動問題と周波数応答問題の解法の開発に着手し、理論の構築まで行った。固有振動問題では、指定した任意の固有振動数を最大化することを目的とし、周波数応答問題で指定した任意の周波数帯での応答の合計を最小化することを目的とした。いずれもラグランジュ乗数法と随伴変数法を利用して定式から最適性条件、及び要となる感度関数の導出を行い、現在コンピュータへの実装中である。 一方,サンドイッチ構造のコア部を形成するセル構造の最適化に関しては、昨年度着手した周期性ミクロセル構造から構成されるマクロ構造の逆均質化法を利用したマルチスケール2段階最適化手法を確立し、論文として発行した。更に、この手法を1段階でマクロ構造の剛性を最大化するミクロ構造最適化問題の解法へ発展させ、その理論を確立した。そこでは任意のミクロ領域を設定し、それぞれの領域に最適な周期的ミクロ構造求めることを可能にした。現在、計算機への実装を終え、検証の数値実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積層FRPシェル構造の配向角の最適化手法は静的設計問題の解法に関する論文化を終え、動的設計問題の解法の開発に着手し、目途が得られた状態にある。 セル構造の最適化は周期的ミクロ構造からなるマクロ構造を対象に、2段階のマルチスケール手法を論文化し、新たに着手した1段階手法の開発も最終ステージに達している。
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Strategy for Future Research Activity |
積層FRPシェル構造の自由配向角の最適化手法は固有振動問題と周波数応答問題の解法の計算機への実装と数値実験を促進し、今年度前半には2報の論文投稿を行う。また、得られた自由配向を実現するため、工業用ミシンのステッチングを利用することも検討しており、FRPシェルの試作を実現させる。 セル構造の最適化は1段階手法の数値検証を行い、今年度前半に論文投稿する。
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Causes of Carryover |
当初の試作用3Dプリンターの購入を試作外注に切り替えたこと、及び試作依頼メーカーの協力により費用が抑えられたため。 試作、及び国際会議発表の経費に充てる。
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