2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03855
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
上田 整 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10176589)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 圧電材料 / 傾斜機能材料 / 破壊力学 / 弾性数理解析 / 電気的負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユニモルフ型圧電アクチュエータは,機能・コスト両面で優れており,多方面で使用されているが、圧電材料と金属平板間の界面剥離が問題となっている。圧電アクチュエータは、微小変位制御において,空気圧式,油圧式,電気式などに比べて変位精度および応答速度に優位性を有しているが,変位レンジおよび発生力に関しては,十分と言い難い.このため,屈曲型や積層型が開発されているが,変位レンジおよびコストの両面から屈曲型が比較的多く使用されている.屈曲型の場合,一枚の金属板に一枚の圧電材料を張付けたユニモルフ型や二枚の圧電材料を用いて構成されるバイモルフ型が一般的であるが,金属板との接着層や金属電極層などの接合界面から剥離が発生することが知られている. このため,傾斜機能圧電材料が開発され,ユニモルフ型やバイモルフ型圧電アクチュエータシステムの応力低減のために用いられている.材料の物性値が連続的に変化するように制御された傾斜機能材料は,スペースプレーンの外壁材として航空宇宙産業での実用化を目的に1980年代半ば頃から開発が始まっている.最近は,屈曲型アクチュエータの信頼性向上を目的として傾斜機能圧電材料の開発が進められており,傾斜機能材料単体の強度評価は精力的に行われているが,上記のような接合界面が存在する傾斜機能圧電アクチュエータの破壊力学的挙動を詳細に調査した研究は数少ないのが現状である. 本研究では,微小き裂を有する圧電アクチュエータシステムをモデル化した傾斜機能圧電平板(FGPM)と金属平板から成る二層平板を対象に,一般の使用形態を模擬した電気的負荷が作用する場合を考え,微小き裂に起因する電気弾性破壊力学的挙動を解明し,微小き裂が界面まで進展した場合のき裂先端近傍の特異応力場・電気場を特定することに成功している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.静的電気負荷に起因する傾斜機能圧電積層板中の応力解析に成功した。 2.1の結果を用い、内部き裂、縁き裂および破断層き裂を有する傾斜機能圧電積層板が電気負荷を受ける場合の破壊力学的挙動を二重積分変換法に基づく厳密な数理解析手法を用いて解明することに成功したが、一部電気的境界条件に疑問があり、検討中である。 3.力学的衝撃負荷が作用する場合の解析上の困難さに加え、解析プログラムの調整に時間を要しており、多少の遅れが発生している
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Strategy for Future Research Activity |
1.電気的負荷が作用する場合について、傾斜機能圧電積層板の電気的境界条件について検討し、適切な条件式を明らかにする。 2.適切な電気的境界条件に基づいた電気弾性破壊力学解析を実施し、電気的負荷に伴う特異電気弾性場を解明する。 3.き裂接触を考慮した解析法を確立し、物理的に有益な結果を得る。 4.機械的衝撃負荷が作用した場合についての衝撃電気破壊力学解析を実施する。
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Causes of Carryover |
予定した学会が新型コロナウイルスの感染防止のため中止され、参加出来なかったため残余金が発生した。次年度は、集中した数理解析のための高性能パソコンを購入し、効率的な研究推進を図る。
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