2018 Fiscal Year Research-status Report
Clarification and Formulation of Improvement Mechanism of Plastic Formability under Multi-axial Stress Conditions due to Mechanical Twinning of Metastable Beta-type Titanium Alloys
Project/Area Number |
18K03857
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
清水 一郎 岡山理科大学, 工学部, 教授 (10263625)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹元 嘉利 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60216942)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 機械材料 / 準安定βチタン合金 / 変形双晶 / 塑性加工 / 二軸圧縮試験 / チューブエンドフレア試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,二元系準安定βチタン合金において,特定範囲の添加元素割合で生じる{332}変形双晶に着目し,添加元素量や負荷様式がその活動に及ぼす影響を正しく理解するとともに,多軸応力下において変形双晶がもたらす塑性加工性向上機構の解明を目指して行うものである. 2018年度は初年度として,試験材料の入手と試験装置の整備,試験条件の検討を計画した.まず,研究用素材として,熱間圧延によって板厚約8 mm,幅×長さ約80 mm×約150 mmに仕上げたTi-10,12,14,16,18 mass%Mo合金を入手した.これらの素材から直方体形状を切り出し,表面研摩および溶体化焼入れを行って二軸圧縮用試験片を作製した.その際,設定した溶体化焼入れ処理条件によって変形双晶が活動することを確認している.続いて,Ti-Mo合金の塑性変形に対応できるよう,二軸圧縮試験装置およびチューブエンドフレア試験装置の整備を行った.前者については自作装置を所有しているが,想定される高荷重に対応できるように剛性を高める改良を加えた.後者は新たに準備した高負荷プレス装置に試験冶具を組み込んで試験可能な体制を整えた.当初は,入手したTi-Mo合金を用いて予備試験を実施し,試験条件の検討を行う計画であったが,Ti-Mo合金の入手に時間を要したため,代替として既に所有していた二元系チタン合金(Ti-Nb合金)を用いた予備試験を行った.Ti-35,45Nb合金(Mo当量で約9.8 Mo,約12.6 Moに相当)の単軸および等二軸圧縮試験を行うとともに,過去の研究成果と組み合わせて検討を加えた結果,変形双晶がもたらす圧縮塑性挙動の特長と,それに対する圧縮変形様式の影響について基礎的な知見を得ることができた.この内容については,学会にて講演を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の年度当初における研究計画の主な項目は,「①試験材料の入手と調整」,「②試験装置の製作と整備」,「③予備試験による試験条件の決定」,の3つであった. ①に関しては,二元系準安定βチタン合金として代表的なTi-Mo合金を対象とし,室温にて変形双晶が活動すると想定される合金組成を考慮して,Ti-10,12,14,16,18mass%Mo合金の5種類の熱間圧延板材を入手した.これらの合金は市販されていないため,実績のある企業に製造を依頼した.一部の材料については既に,試験片形状へ切出し,溶体化焼入れ処理などの条件を整えることによって,室温での塑性変形時に変形双晶が活動することを確認している. ②に関しては,自作して所有している二軸圧縮試験装置に対して,Ti-Mo合金の塑性変形試験に対応できるよう,全体の剛性を高める改良を施した.一方のチューブエンドフレア試験装置については,試験治具を製作し,プレス試験機に組み込んで試験開始可能な状態となっている. ③に関しては,Ti-Mo合金の入手に予定外の時間と費用を要したため,Mo当量がほぼ対応するTi-Nb合金を代替として用い,予備試験によって,試験片加工,熱処理,表面研摩を含めた適切な試験条件をほぼ決定することができた. 以上の通り,本研究は今のところほぼ計画通りに遂行できていると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は今のところ順調に進行しており,研究遂行にあたって大きな問題は発生していない.2018年度の研究成果を踏まえ,研究目的を達成するために,2019年度以降は以下のように研究を進める予定である. (1)合金組成の異なる5種類のTi-Mo合金に対して,2018年度の予備試験結果に基づいた二軸圧縮試験およびチューブエンドフレア試験を実施し,数種類の異なる二軸応力下での力学的性質変化を調べる.同時に,電子線後方散乱回折法を中心とした顕微鏡解析によって,各応力下における変形双晶の活動状況を明らかにする.これらを組み合わせて定量評価を行うことにより,添加元素量や負荷様式に依存する変形双晶の活動が力学的性質変化に及ぼす影響について検討を加える. (2)(1)から得られた成果に基づき,特徴的な二軸負荷様式を幾つか選択し,その負荷様式における変形双晶の状況,同時に生じると予想されるすべりとの相互作用,二次双晶およびDetwinningなどの特徴的な微視的変形機構の活動を,電子顕微鏡解析を援用して調べ,各機構が力学的性質に及ぼす影響の切り分けを試みる. (3)(1),(2)の実験結果を総合的に捉え,幾つかの想定される実製品塑性加工成形プロセスを考慮しつつ,変形双晶を有効利用するためのプロセス最適化を検討し,冷間塑性加工性を向上可能なプロセス設計指針の提案を目指す.同時に,変形双晶と力学的性質の関係を定式表現することにより,その影響を表現可能な構成関係の構築を試みる.
|
Causes of Carryover |
本研究で対象としているTi-Mo合金の熱間圧延板材を製作可能な企業は,国内でも数社に限られており,納期を考慮しつつ2社に絞って検討した結果,安価な方に製作を依頼して購入した.しかしながら,その費用が当初の予定より大きく,かつ製作に要する日数が計画より長かったことにより,2018年度は電子顕微鏡用品などの消耗品を入手するに至らず,その分が次年度使用額として残る結果となった.2019年度以降,研究の進行に伴って消耗品は継続的に必要となることから,次年度使用額はそれに充てる計画である.
|