2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03864
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Research Institution | 北九州市環境エレクトロニクス研究所 |
Principal Investigator |
宍戸 信之 北九州市環境エレクトロニクス研究所, パワーエレクトロニクス信頼性研究室, 主任研究員 (00570235)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 強度 / 界面 / 欠陥 / エレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微小界面構造体におけるき裂の進展抵抗と潜在き裂の形状との双方を評価することで、微小界面構造体からなる大規模システムであるエレクトロニクスデバイスの初期破壊リスクの定量化を試みる。特に、き裂進展抵抗ならびに潜在き裂形状情報をそれぞれ独立に取得するために、力学的条件の異なる試験評価を組み合わせる。評価装置には電子線後方散乱回折(EBSD)像用カメラを含むFIB-SEM複合ビーム装置にナノインデンタを装荷した局所評価ステーションを用いる。 初年度である平成30年度は、単結晶銅/セラミックス界面構造体を用いて、銅―セラミックス間の界面結合エネルギーおよび潜在き裂形状の同定をおこなう。有限要素解析によるき裂進展シミュレーションを行い、すでにき裂進展抵抗が既知の系において、き裂の安定進展する力学条件と不安定化の条件とを予測し、それを踏まえて試験片の形状設計をおこなった。まずは銅(111)面接合体での剥離試験を実施した。製作した単結晶銅/セラミックス界面構造体においては走査型電子顕微鏡による観察で界面上の潜在欠陥は確認できなかったが、剥離試験時の最大荷重の再現性がよいことなどから、外力によってき裂を導入、安定進展させることでき裂形状を制御する代替案の着想を得た。一方、メッキによる半導体銅配線構造体ではその粒界近傍のボイドなど明瞭な潜在欠陥が多数確認できた。これは、当初の予定通り電流負荷による欠陥成長の可能性を期待させるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画初年度である平成30年度には、単結晶銅/セラミックス界面構造体を用いて、潜在き裂形状の同定までおこなう予定であったが、不安定剥離試験によるき裂形状評価試験の着手前に評価装置が故障したため、以後の試験評価は中断、次年度以降に持ち越しとなった。一方で、単結晶構造体では明瞭な潜在き裂が確認できなかったこと、剥離試験時の最大荷重の再現性がよいことなどから、外力によってき裂を導入、安定進展させることでき裂形状を制御する代替案の着想を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の観察結果を踏まえて、単結晶構造体ではまず剥離試験結果から予測される剥離荷重の八割程度で試験を中断することで安定的にき裂を導入し進展させる。そののち、試験片をイオンビームにて再加工し、き裂形状特定用の不安定剥離試験を実施することとした。途中、電子顕微鏡による透過観察によって一旦成長したき裂の形状測定を試みる。一方で、メッキによる半導体銅配線構造体ではその粒界近傍のボイドなど明瞭な潜在欠陥が確認できたため、エレクトロマイグレーションによってそれらの初期潜在欠陥をき裂として測定可能な形状まで成長させる。まずはこれらの方策を組み合わせた剥離試験によって、き裂情報を抽出することを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた主な理由として、本研究に必須の試験評価装置である局所評価ステーションが故障したことが挙げられる。特注装置であるために別機関/装置での代替試験は困難であり、結果として試験評価実施に伴う装置使用料および出張費が当初予定額に満たなかった。次年度前半に当該装置の修理は完了する予定であり、その修理費ならびに外部装置利用に関わる諸経費を前年度未使用額で充当することで前年度の遅れを取り戻す。
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