2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on additive manufacturing method with high degree of freedom of material and capability of creating functionally graded material
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18K03865
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
多田 達也 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (40805214)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 樹脂粉体 / 摩擦帯電 / 3D造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である、「材料自由度が高く」さらには「傾斜機能特性を持つ材料の創成も可能」とする「新たな付加製造技術」の構築においては、微粒子化した異種の各種材料粒子を2次元平面内の任意の位置に並置配置することが可能な積層層形成技術がKey技術となる。またその積層層形成技術を構築するための要素技術となるのが、①種々材料を数μmからサブμmの大きさにするための微粒子化技術であり、②微粒子材のハンドリングに必要な物理特性の制御技術である。そこで平成30年度においては、研究実施計画にのっとり、①各種材料の微粒子化技術に関する研究と②粒子の物性制御技術に関する研究を行った。 ①の研究においては、入手可能な熱可塑性樹脂材料と利用可能な微粒子化作製装置に関する情報収集を行い、その情報を基に3種の樹脂(ABS、AS、アクリル)材料の選択と入手を行い、更に、入手した樹脂材料の粒子作製ができるかをトナー粒子作製に用いられる粉砕法の装置を用いて検討した。その結果、AS樹脂とアクリル樹脂においては、衝突板タイプのジェットミル粉砕機の制御条件範囲内で10μmサイズの所望の粒子を作製できることが確認できた。しかしながら、ABS樹脂に関しては、粉砕法装置である衝突板タイプのジェットミル粉砕機とカッターミルの両方の装置において、それぞれの制御条件範囲内では所望の粒子作製ができないことが分かった。 ②の研究においては、樹脂粉体を摩擦帯電させ静電気力を利用してそのハンドリングを行うことから、最初に樹脂粉体の摩擦帯電特性を測定する装置の立ち上げを行い、次に立ち上げた測定装置と他の測定装置との帯電量値を共通基準で評価する方法に関して検討を行った。また、摩擦帯電列上の異なる位置に存在する種々の摩擦帯電粒子を用い、作製した樹脂粒子の摩擦帯電特性に応じて各樹脂粒子を異なる帯電量値に制御できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①の各種材料の微粒子化技術の研究においては、平成30年度の達成目標を、造形材となる種々材料をサブμmまで微粒化するための手法と制御条件を明らかにすることとしていたが、この目標に対して、AS樹脂とアクリル樹脂に関しては、樹脂粒子作製に一般的に用いられる粉砕法が10μmサイズの粒子作製装置として適用可能であることを明らかにできた。また、ABS樹脂に関しては、一般的な粉砕法装置の制御条件範囲内では粉砕を行うことができず、一般的な粉砕法はサブμmサイズまでの粒子作製法としては用いることができない手法であることを明らかにできた。樹脂粒子の作製に関しては、上記樹脂以外にも、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂が実験用として入手可能であることまでは確認できた。しかしながら、これらの樹脂材料の入手と粒子作製検討までは行うことができなかった。 ②の粒子の物性制御技術の研究においては、平成30年度の達成目標を、粒子のハンドリングに関して、印刷技術の画像形成制御手法に適応させるために必要な物性条件とその物性制御手法を明らかにすることを目標としていた。この目標に対して、粉体ハンドリングに用いる印刷技術が粉体の摩擦帯電特性を利用していることから、樹脂粉体の摩擦帯電量測定を行うことができる測定装置の構築を行った。また、作製したAS樹脂とアクリル樹脂の樹脂粒子の摩擦帯電特性に関して、共通基準で規定された摩擦帯電列上において、摩擦帯電特性の相対位置関係がどのようになっているかの確認を行った。 しかしながら、もう一つの検討項目であった異種材粒子並置配置技術の研究に関しては、検討装置の立ち上げが行えず、作製した異種材粒子を用いての2次元画像の作製とその条件抽出検討は行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①の各種材料の微粒子化技術の研究に関しては、平成31年度も継続して行う計画としており、追加する達成目標項目としては、本研究で構築を目指す「新たな付加製造技術」では水溶性のサポート材粒子を用いることから、樹脂以外の材料の粒子作製法とその作製制御条件を見出すこととしている。従って、平成31年度は、構造材樹脂の粒子化検討の継続として、候補樹脂である{ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂等}に関して、10μmサイズまで微粒化するための手法と制御条件を明らかにしていくことと、それと並行して、樹脂材以外の材料に関しても10μmサイズまで微粒化していくための手法と条件を明らかにしていく。 同様に平成31年度も継続して行う計画としている②の粒子の物性制御技術の研究に関しては、新たに作製する造形材粒子やサポート材粒子の摩擦帯電特性を明らかにし、また摩擦帯電量の制御条件を明らかにしていく。また、摩擦帯電特性以外にも制御が必要となる粉体ハンドリングのための粉体特性に関しても、その特性と条件を明らかにしていく。また、検討の効率化を図るために、原材料入手の段階で所望のサイズの原材料粒子が存在するようであれば、原材料からの粒子作製を行わず、その原材料粒子を用いて検討を進めていく。 また、上記①と②を踏まえた③異種材粒子並置配置技術の研究も並行して行い、印刷技術において異種材粒子の並置配置2次元画像作製を高精度に行うための制御条件を明らかにしていく。また、異種材の並置配置2次元画像の作製を実際に行うための機構の構築に関しては、冶具及び検討装置の作製を開始していく。
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Causes of Carryover |
熱可塑性の樹脂材(汎用樹脂、汎用エンプラ、スーパーエンプラ)を用いた検討を行う必要があることから、複数種の樹脂粒子原材料、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、AS、ABS、ポリアミド(PA)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等、の購入を予定していた。しかしながら、それぞれの最小購入単位の販売価格が想定していた金額より高く、購入できない原材料樹脂があり、その購入金額に満たなかった端数分の予算が未使用額として発生した。 この未使用額は次年度の予算と合わせて未購入分の樹脂粒子原材料の購入費として使用する予定である。
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