2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a fixed abrasive polishing method combined with the Magnetic Abrasive Finishing Process
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18K03866
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鄒 艶華 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (10516678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 隆之介 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (20312861)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁気研磨法 / 固定砥粒研磨法 / 複合研磨 / 難削材 / 高能率加工 / 高精度加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案する微細磁性粒子ブラシによる精密仕上げと固定砥粒研磨法を融合させた新しい研磨法では,工具作用面における磁気ブラシの形成および分離・再生が適切に行われることが重要である.磁気ブラシに働く力は工具作用面に磁気吸引力によって付着している磁性粒子が工作物表面と直接接触し,接線研磨抵抗と遠心力を受ける.吸引磁力が接線研磨抵抗と遠心力の和より大きければ,磁性粒子は工具端面に留まりながら工作物表面の加工に関与し続け,逆に小さくなると分離脱落する.磁気吸引力は永久磁石の磁気特性や磁性粒子サイズ,磁極形状等によって変化することから,磁場測定・解析を行い永久磁石の仕様,磁極形状を決定する必要がある.さらに,磁気ブラシを工作物に対して適切に作用させるためには磁性粒子に対して十分に大きい砥粒突出し高さが必要であり,また,磁気ブラシが遠心力で破断しない必要がある.本研究では,作用面が外径10mm,内径8mmのカップ型軸付電着ダイヤモンド砥石の砥石軸にリング状のNd-Fe-B磁石を取り付けることにより工具端面に磁場が形成され,工具端面に磁性粒子と砥粒を混合した研磨液を塗布することにより研磨力を持つ磁気ブラシが形成できることを明らかにした.磁性粒子径30μm,75μm,330μmのいずれの場合も工具回転数8000min-1においても磁気ブラシの遠心力による飛散は見られず,十分な磁気吸引力を有することが確認された. この複合研磨工具を用いてセラミックスおよびTi合金に対する加工実験を行った.軸付電着ダイヤモンド砥石の砥粒径を#120とした結果,いずれの工作物に対しても高能率・高精度の仕上げ面が得られることが確認された. 以上の研究成果をまとめて,日本機械学会2019年茨城講演会で1篇の論文を発表し,2020年度精密工学会春季大会学術講演会で2篇の論文が公表され,1件の特許を出願した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度にはまず磁気ブラシ形成及び作用条件を解明することを目的とした.磁気ブラシに働く力は工具端面に磁気吸引力によって付着している磁性粒子が工作物表面と直接接触し,接線研磨抵抗と遠心力を受ける.吸引磁力が接線研磨抵抗と遠心力の和より大きければ,磁性粒子は工具端面に留まりながら工作物表面の加工に関与し続け,逆に小さくなると分離脱落する.磁気吸引力は永久磁石の磁気特性や磁性粒子サイズ,磁極形状等によって変化することから,磁場測定・解析を行い永久磁石の仕様,磁極形状を検討した.その結果,市販の直径10mm,高さ10mmの軸付電着砥石に対して砥石の上部にリング状のNd-Fe-B磁石を取り付けることにより磁気ブラシが形成されることを明らかにし,磁性粒子径が比較的小さい30μmの場合でも工具回転数が8000min-1に達しても遠心力によって分離することは無く,加工に十分な磁気吸引力が発生していることを確認した.また,加工実験に先立ち,研究代表者,研究分担者の双方で加工実験装置を製作した. 令和元年度は加工実験に着手した.磁気ブラシを工作物に対して適切に作用させるためには磁性粒子に対して十分に大きい砥粒突出し高さが必要であることから,#120の粗粒ダイヤモン粒を有する電着軸付砥石を用いた.アルミナセラミックス,Ti合金に対して加工実験を行い,固定砥粒による高能率除去と磁気ブラシによる精密仕上げの複合作用が実現化されることを明らかにした. 仕上げ面の観察から,工具端面の固定砥粒によって材料が除去されるとともに,それにともなって発生するバリが磁気ブラシの作用によって除去される加工メカニズムが推察された. これらの結果は,2020年度精密工学会春季大会学術講演会で公表され,特許を出願した. 以上より,当該研究はおおむね順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により固定砥粒による高能率除去と磁気ブラシによる精密仕上げの複合作用が一定の条件下で実現されることを明らかにすることができた.本手法の適用範囲を広げるためにはより詳細な検討が必要とされる.そこで令和2年度は,高品位高能率加工を実現する加工条件の最適化を図る.固定砥粒研磨においてプレストンの法則が成り立つとすれば,高能率化に寄与する要因は定圧力と工具回転速度である.いずれも高くなるほど除去能率は高くなる.しかし,定圧力の増加は接線研磨抵抗の増大を招き,工具回転速度の増加は遠心力を増加させるため磁気ブラシの形成に影響を与える.また,仕上げ面性状に影響する要因として,磁性砥粒の種類,サイズおよび固定砥粒のサイズが考えられる.一般に砥粒サイズが小さくなるほど仕上げ面粗さは良好になるが除去能率の低下を招き,固定砥粒サイズが大きい場合は入念なドレッシングが必要となる.さらに固定砥粒サイズの減少は砥粒突出し高さの減少につながるため磁気ブラシの形成に影響する.従って,高能率除去と精密仕上げを両立させるためには,(1)定圧力,(2)磁性粒子の種類,サイズ,(3)固定砥粒サイズ,(4)工具回転速度について最適化を図る必要があり,加工実験を行い加工量,仕上げ面粗さを評価することによりこれらの条件を実験的に検討する.またこれらの条件のうち,(3)固定砥粒サイズ,(4)工具回転速度については,磁気ブラシの形成およびその作用条件に関係することから随時フィードバックしながら検討を進める. 最終的に,現在生産現場で高品位高能率加工が強く求められている次世代難削材に対して本加工法を適用し,その有効性を実験的に検証する.そして,研究成果をまとめ論文投稿する.
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Research Products
(4 results)