2020 Fiscal Year Research-status Report
スマート工場の適正運用に向けた自律分散型生産スケジューリングシステムの開発
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18K03872
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森永 英二 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (80432508)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リアクティブ生産スケジューリング / 優先規則 / 生産シミュレーション / 最適化 / 自律分散型生産管理システム / Internet of Things (IoT) / サイバーフィジカルシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
生産現場では、所与の優先規則に従って材料を各設備に割り当てていく、現実的な生産スケジューリング法が広く実用されている。計算機技術と情報通信技術の発達によって、設備単位で高度に分散化された生産システムが実現されつつあることを踏まえ、優先規則を用いた生産スケジューリングを、設備間の知的な情報交換のみによって自律分散型の枠組みで実行する手法が開発されてきている。本研究では、種々の優先規則を適切に組み合わせて適正なスケジュールを得るための、組合せの「塩梅」の調整を、知的情報交換により巧みに行ってスケジュールの適正化を図る手法を構築するとともに、計画者との連携も踏まえて適正化を図る手法の開発を目的としている。令和2年度は、スケジューリングの実行についての計画者の意思決定を支援する手法の開発を行った。
自律分散型の枠組みの特長の一つに、条件変動に対する柔軟な対応への適性がある。本研究も、条件変動の発生を受けてスケジューリングを実行することを前提としている。変動の内容によっては、再スケジューリングせずに生産を継続することが最適であり、再スケジューリングを行っても同じスケジュールが得られるに過ぎない場合がある。このため、変動生起時に必ず再スケジューリングを行うのではなく、そのまま生産を継続する場合よりも良好なスケジュールが得られる見込みがある場合にだけ、再スケジューリングを行うことが望ましい。その判断を的確に行うための手法を開発した。工程の処理時間が所与のものよりも長くなることが確定した時点で、右シフトスケジューリングを行うとともに、再スケジューリングによってそれよりも良いスケジュールが得られるかどうかの判定基準を設定し、合致する場合にのみ、再スケジューリングを行う手法を与えた。数値例題によって、この判定基準が高い確率で有効に作用し、提案手法が有用であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、令和2年度において、生産日程計画者やその連携を含めた半自律分散型適正スケジュール生成メタシステムへの展開を試みることとしていた。前述した、計画者が再スケジューリングの実施についての判断を行う際の支援手法によって、この連携が推進できたことから、概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は概ね達成できた状況にあり、これまでに構築してきた方法論・システムに対して、追加実験等や意見交換等を介して、より精緻な評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
開発した手法の検証を、疑似的または小規模な高度分散環境を構築して行ってきたことが主な理由となっている。令和3年度で、より充実した高度分散環境の下での追加検証を行う過程で使用する予定である。また、研究成果発表等で国内外の研究者との活発な情報収集・意見交換を行うことが望ましく、そのための参加費・旅費等にも使用する予定である。
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