2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K03877
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大西 修 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50315107)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 純氷ブロック砥石 / 結合剤 / 砥粒 / 研磨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境に悪影響を及ぼさず、荒加工から仕上げ加工まで対応可能な、全く新しいコンセプトに基づく純氷を結合剤とする砥石を開発することを目的としている。 平成30年度は、結合剤ブロックの製作に関する実験、結合剤ブロックへの砥粒の配置に関する実験、製作した砥石を用いた基礎的な研磨加工に関する実験を行った。 まず、結合剤ブロックの製作に関する実験として、冷凍庫を用いて砥石の結合剤となる液体を凍らせてブロックを作成することとした。3種類の結合剤となる液体を凍らせて、それぞれの結合剤のブロックを製作した後、所定の時間、室温で放置することによって、各結合剤ブロックの質量減少速度を調査した。その結果、3種類の結合剤の中で最も質量減少速度が小さくなるもの、つまり結合剤としての寿命が長くなるものを明らかにした。 次に結合剤ブロックへの砥粒の配置に関する実験として、上記の実験において最も寿命の長かった結合剤を結合剤として採用することとし、3種類の粒度の砥粒を用いて、攪拌翼によって砥粒の攪拌を行いながらブロック(砥石)の製作を行った。その結果、各攪拌条件における砥石表面の砥粒分布状態について明らかにした。 そして、上記の砥石の製作実験において最も砥粒の分布状況の良かった条件および比較用の条件で砥石を製作し、それを用いて石英ガラスに対する研磨加工実験を行った。その結果、製作した砥石により石英ガラスの加工が加能であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、結合剤ブロックの製作、結合剤ブロックへの砥粒の配置、製作した砥石を用いた基礎的な研磨加工に対して、以下のような成果を得ているため、おおむね順調に進展していると判断した。 結合剤ブロックの製作に関する実験においては、3種類の結合剤となる液体を凍らせて、それぞれの結合剤のブロックを製作し、所定の時間、室温で放置することによって、各結合剤ブロックの質量減少速度を調査することで、3種類の結合剤の中で結合剤としての寿命が最も長くなるものを明らかにすることができた。 結合剤ブロックへの砥粒の配置に関する実験においては、結合剤ブロックの製作に関する実験において最も寿命の長かった結合剤を用い、攪拌翼によって砥粒(粒度は3種類)の攪拌を行いながらブロック(砥石)の製作を行うことで、各攪拌条件における砥石表面の砥粒分布状態について明らかにすることができた。 製作した砥石を用いた基礎的な研磨加工に関する実験においては、上記の砥石の製作実験において最も砥粒の分布状況の良かった条件および比較用の条件で砥石を製作し、それを用いて石英ガラスに対する研磨加工実験を行うことで、製作した砥石により石英ガラスの加工が加能であることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の、「環境に悪影響を及ぼさず、荒加工から仕上げ加工まで対応可能な、全く新しいコンセプトに基づく純氷を結合剤とする砥石を開発する」という目的の完遂のために、今後の以下のような内容について実行していく予定である。 まず、結合剤ブロックの製作時の温度の違いによる影響について調査し、より望ましい製作温度条件を明らかにするとともに、攪拌翼による攪拌以外の方法による砥粒の配置法の検証などを行い、より効果的な砥石の製作条件を究明する。そして、製作された砥石を用いた基礎的な加工実験を行い、その性能を確認した後、工作物として需要の大きな硬脆材料を取り上げ、製作した砥石による加工特性の検証をするとともに、最適な砥石形状や加工条件等も究明していく。 さらに、本砥石の寿命をより延長可能とするような装置を製作し、本砥石を用いた加工実験を通して、装置の効果と有効性を検証するとともに、加工環境による加工現象への影響や効果についても明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成30年度に計画していた装置等を次年度に購入するため次年度使用額が生じた。 装置等、研究遂行に必要な物品を購入する計画である。
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