2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a practical fixed abrasive polishing technique for ultra-smooth machining of hard and brittle substrate material
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18K03886
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山口 智実 関西大学, システム理工学部, 教授 (10268310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古城 直道 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80511716)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超仕上げ / メカノケミカル反応 / 固定砥粒研磨 / 複合砥粒砥石 / サファイア / 光学ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,超仕上げによる固定砥粒研磨技術の実用的確立を達成するため,以下の3つの課題に対して研究を行ってきた。 (Ⅰ) ガラス・シリコンの超平滑化における表面下損傷の発生と超仕上げ条件との関係の解明:本年度は,光学ガラスにおけるSSDの発生モデルの構築に着手した.モデルは,ガラスを模した立方体にダイヤモンドを模した剛体の圧子を押し込み,その状態から圧子を除去した際のガラス内の応力変化を有限要素法(FEM)で解析することで,SSDの発生個所を求める.本年度は,理論値と一致するようFEM解析におけるメッシュの設定を試行錯誤して求めた.これによって,本モデルの基本設定を確立することができた. (Ⅱ) MC/MC複合砥粒砥石の目直し条件と超仕上げ性能との関係性の解明:本年度は,砥粒軌跡を変化させた目直しが砥石の超仕上げ性能に及ぼす影響を調査した.その結果,ⅰ) 砥石外径へのドレッサの干渉開始角度の小さい目直しを行うことで,目直し量が少なくなり,超仕上げ時にシリコンを良好に仕上げることができる摩耗した砥石表面が得られた.ⅱ) 干渉開始角度が小さくても,同条件の目直しの繰り返しによって,砥石作業面は徐々に劣化し,干渉開始角度の大きな目直しのように超仕上げ性能が悪化する.以上のことが分かった. (Ⅲ) サファイアに対する多段超仕上げ工程設計システムの構築:本年度は,低粒度砥石における仕上量推定の不安定さの原因の調査を行い,その結果,使用している超仕上げ盤の加工圧力の付与機構―砥石と加工物との接触アプローチ機構―における速度制御に問題があることがわかり,超仕上げ盤に空気圧配管において,レギュレータを精密仕様に替える等の配管回路の改良を行った.その結果,低粒度砥石の仕上量推定の確度を向上させることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(Ⅰ) ガラス・シリコンの超平滑化における表面下損傷の発生と超仕上げ条件との関係の解明:光学ガラスにおけるSSDの発生モデルの構築に着手し,ほぼ理論どおりの結果が得られたことでモデルの妥当性について確認できたことから,ほぼ予定通りの研究を進めることができた. (Ⅱ) MC/MC複合砥粒砥石の目直し条件と超仕上げ性能との関係性の解明:予定通り,砥粒軌跡を変化させた目直しが砥石の超仕上げ性能に及ぼす影響を明らかにすることができたので,予定どおりの進展が得られた. (Ⅲ) サファイアに対する多段超仕上げ工程設計システムの構築:超仕上げ盤における砥石と加工物との接触アプローチ機構を改善するため,空気圧配管を改良することで低粒度砥石の仕上量推定の確度を向上させることができたので,予定どおりの成果を得ることはできなかったが,工程設計のシステムの根本的改善は行えたので,将来的に見て,有用な進捗は得られたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
(Ⅰ) ガラス・シリコンの超平滑化における表面下損傷の発生と超仕上げ条件との関係の解明:現在のモデルは,理論と同様,準静的下での解析結果であるので,今後は,実際の加工で発生する,すなわち動的下でのSSD発生モデルを構築していく. (Ⅱ) MC/MC複合砥粒砥石の目直し条件と超仕上げ性能との関係性の解明:加工条件が同じでも目直し条件が異なれば目直し間寿命が異なることを明らかにしたが,その因果関係については未だ明らかにできないでいる.今後は,各目直し条件で生成された砥石の作業面を詳細に観察するなどして,目直し条件と本加工状態との関係性について調べていく. (Ⅲ) サファイアに対する多段超仕上げ工程設計システムの構築:超仕上げ盤の改良を行ったことによる設計システムと実際の加工性能との合致度を調査し,ある加工要求仕様を得るための最適解を求めていく方法を考えていく.
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Causes of Carryover |
当初計画になかった超仕上げ盤の空気圧配管の改善を優先して先に行ったことで,その間に行う予定であった加工実験が行えなくなり,その分の実験材料費などが余ってしまった.したがって,次年度は積み残した研究実験も含めて研究を進めていく予定である.
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Research Products
(2 results)