2021 Fiscal Year Research-status Report
ミクロなスラリー循環流れの制御および好適化による研磨能率の向上
Project/Area Number |
18K03893
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Research Institution | Tokuyama College of Technology |
Principal Investigator |
福田 明 徳山工業高等専門学校, 機械電気工学科, 教授 (80643220)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 研磨 / 化学的機械研磨 / スラリー流れ / 研磨パッド / 研磨能率 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体デバイスの高性能化に伴って、半導体デバイス製造工程で使用される化学的機械研磨(CMP)に高い技術的要求がなされ、研磨性能の向上のために研磨メカニズムを踏まえた技術開発が望まれている。報告者は、これまで見過ごされてきたウェーハと研磨パッドとの微細な隙間のミクロなスラリー流れに着目し、研磨メカニズムにおいて重要な役割を担っていると考えられるミクロな循環流れの存在を明らかにした。更に、ミクロなスラリー流れの制御が研磨性能の更なる向上(ブレークスルー)に繋がるのではないかとの着想に至った。本研究の目的は、品質工学で用いられる直交表を使用したパラメータ設計の手法を適用して研磨実験と流れの可視化観察を行い、ミクロなスラリー循環流れの制御が研磨能率の向上に繋がることを示すことである。ミクロなスラリー循環流れの制御は、ダイヤモンド・コンディショニングにより研磨パッド表面の微細な凹凸形状を制御することで実現する。2021年度(令和3年度)に実施した主な研究内容を以下に示す。 (1)新たに作製した2種類の研磨パッド拡大模型についてミクロなスラリー流れの可視化実験を実施し、これに2020年度までの実験を加えた全6条件の実験結果において、ガラス板の研磨においてもミクロな循環流れと研磨能率に相関が認められた。 (2)コンディショニング条件をL18直交表に割り当てたガラス板の研磨実験を実施した。その結果、研磨能率とコンディショナのダイヤモンド砥粒密度との間に相関が認められた。ダイヤモンド砥粒密度は、研磨能率と相関が認められた表面性状パラメータとの間にも相関が認められた。 (3)研磨パッドとウェーハとの接触を模擬する測定機器を使用して接触率と単位面積当たりのフェレ径(接触点の大きさ)を測定した結果、ガラス板の研磨においてこれらに研磨能率との強い相関が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により2020年度に実験研究が長期間ストップした影響が2021年度も続いた。直交表を用いた研磨実験についてはかなり挽回できたと考えるが、実験データの詳細な整理や追加実験の実施までは至らなかった。スラリー流れ可視化実験については実験条件数が不足している状況である。可視化実験の代替策として2020年度から取り組んでいるスラリー流れシミュレーションについては、実験結果との比較まで実施したが、まだ成果が出ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
直交表を用いた研磨実験について、2020年度に完了しなった実験データの整理を行い、必要があれば追加実験を実施する予定である。また、スラリー流れ可視化実験の追加実験を実施する。
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Causes of Carryover |
(理由) 新型コロナウイルス感染症の拡大により2020年度にスラリー流れの可視化実験や研磨実験ができない状況が長期間続いた影響が2021年度も続いた。そのため、消耗品の購入が当初の予定より少なくなり、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 主にスラリー流れ可視化実験の消耗品の購入に使用する予定である。
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