2019 Fiscal Year Research-status Report
微量液滴の支配的動作環境を破壊する電界ハイブリッド移動撹拌技術の開発
Project/Area Number |
18K03894
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Research Institution | Akita Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
赤上 陽一 秋田県産業技術センター, 企画事業部, 専門員 (00373217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 竜太 秋田県産業技術センター, 先進プロセス開発部, 主任研究員 (00634213)
大久保 義真 秋田県産業技術センター, 先進プロセス開発部, 研究員 (30826532)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 電界撹拌技術 / 電界 / 印加電圧 / 微量液滴 / 接触角 / 撹拌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに物質固有の誘電率に着目し、外部より試料となる液体に電界を与えると、吸引力が発生し液体の配置制御を可能となることから高効率な研磨技術を実現できる電界砥粒制御技術を発明している。この応用化技術として微量液滴向けの電界撹拌技術(Electric Field Mixing ) を開発し、がんの診断装置に組み入れ実用化している。本撹拌技術によって試料である微量液滴を昇温させずに抗原抗体反応やDNAのハイブリダイゼーションを10倍から20倍に反応を加速させることに成功している。また高価な試薬を微量化し使用する有効利用できること,加えて診断精度向上にもつながることから既に1000名以上の患者さんの手術中にこれまで実現できなかった免疫組織染色診断を実施でき、得られた精度の高い診断情報を執刀医に提供され、その情報を元に手術が施行されることで良好な予後が得られることが期待されている。一方、 表面張力に支配される微量液滴を移動させる簡便な技術がこれまで存在していなかった。そこで本年度は挙動動作のメカニズム解明を中心に電界の与え方、電極の形状性等の使用環境の適用性について実験を通した検討を進めた。その結果、メカニズム解明としては電界を与えることで液滴に生じる3次元的な上下運動が作用することで、液滴は基板との接触面積に変化が生じ、これによって接触角も変化する。加えて電極の傾きによって重心の位置が移動することによって液滴は前傾姿勢をとることになり、移動し易い環境が整うことが分かった。これに加えて液滴先端も触れ回るため、2次元的な触れ回り回転運動も生じことになる。このような挙動が組み合わさって液滴は移動し易い環境が形成される。ここで撹拌挙動は上下の3次元的さらに回転の2次元的な挙動から提供されることを明らかすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画である実験を通した挙動メカニズム解明ができたこと.その条件として印加電圧による挙動変化,さらに電極配置との関係も得られたため,おおむね順調に進展していると判断するものとである.
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Strategy for Future Research Activity |
微量液滴が簡便に移動を開始する印加周波数と液量との関係が得られた。これによって印加電圧をスイッチに使える可能性が得られたことになる。また環境例としては、基板の角度(傾斜角)と電極間距離を決定した上で、基板の表面に微量液量を形成させ、高電圧交流電圧を印加して周波数を変動させて上げていくことにより、液滴移動が開始する周波数が得られた。次年度は液滴の液量を2倍から10倍に増量とした場合における液滴の移動が開始する周波数を得ることとする。また液滴を移動させるためには液滴の液量が小さいほど、変動電圧の印加周波数を高くする必要があることも明らかにした。今後は液の性状についても同様の検討を行う。例えば水の他に、アルコール、界面活性剤等の粘度が異なるところでどのような挙動が得られるか実験を通して究明することや液滴を移動するためには液滴の液量が小さいほど変動電圧の周波数を高くする必要がある。このような条件下におけるELISAキットを用いた染色実験を行い、得られる撹拌挙動の有用性が得られる諸条件を究明することを行う。
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Causes of Carryover |
本年度は本現象が生じるメカニズム解明のためのプロトコール開発に重きを置き、印加電圧、印加周波数、電極間距離、電極配置角度など動作環境の解明を実施した。さらに再現性が得られる最適な試験環境の構築を目指し、微量液滴を滴下し易い設置条件についての検討も実施した。来年度は最終年度のため、本技術の適応可能性を拡大する実験を行う。すなわちメディカルやバイオの研究開発に効力を発揮すると予想される、例えば、タンパク質の反応である抗原抗体反応の迅速化実験に進展させる。
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Research Products
(1 results)