2018 Fiscal Year Research-status Report
マイクロスケールの損傷プロセスを考慮した腐食摩耗メカニズムのモデル化
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18K03902
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
内舘 道正 岩手大学, 理工学部, 准教授 (30422067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 善紀 佐賀大学, 理工学部, 助教 (20739362)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腐食摩耗 / シミュレーション / 表面粗さ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,例えば海水中のような腐食環境下(さびのような材料劣化が生じる現象)で発生する摩耗現象(腐食摩耗)について,表面の微細な凹凸を考慮したモデルを確立することを目的としている.実施内容は,① 微小凹凸を考慮した接触解析手法の確立,② マイロスケールの損傷モデルの構築,及び,③ ①と②を組み合わせたモデルの確立である. ① に関しては,研究代表者の内舘が開発してきている境界要素法(コンピュータを用いた数値解析法の一つ)の計算時間を短縮し,解析領域を接触域まで広げることを目指した.境界要素法に用いるデータは,球面形状と平面形状に微小凹凸(粗さ)を重ね合わせたものを用いた.微小凹凸としては,平面研削面を数種類用いた.接触域が拡大するにつれて計算時間が増加し,ある値を超えると計算機の計算が収束しないという現象が発生した.これは,接触域が増加すると計算量がその二乗で増加することが原因であり,その解決策を探った.対策としてメモリを大幅に増加させたが明確な効果が見られず,数値計算の負荷が増加しすぎないように接触域を求める際の計算アルゴリズムを見直すことによって,計算可能な接触域を増加させることができた. ②に関しては,基礎データとして,研究代表者の内舘が海水中におけるステンレス鋼の腐食摩耗実験を行い,腐食摩耗の大小は一般に言われる「さびる」,「さびない」という尺度とは関連性が薄く,摩擦が加わると材料損失の量に大差がないことがわかった.研究分担者の佐藤の研究においても,熱処理で表面を安定化しても腐食摩耗の大小には明確な効果が見られないことがわかった.それらの知見から,研究代表者と分担者の間で,これまでの腐食摩耗モデルの問題点や改良の方策を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
接触計算の時間短縮についてはある程度の成果が得られた.また,モデル化に必要なデータについても,データが集まってきている.モデル化に関連し,交流インピーダンス測定については,当初想定していたよりも測定装置が高額であったため,実施を見送っているが,既存のポテンショスタットを用いた装置でも詳細なデータ測定が可能であるので,大きな問題ではない.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに接触計算の計算時間を短縮し,横方向の移動も考慮できるような拡張が必要である.市販の数値計算ライブラリの活用も検討しながら,この拡張を継続する.モデル化についても,実験を継続するとともに,適用可能な形に具体化していく.
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Causes of Carryover |
交流インピーダンス測定の装置が想定よりも高額であり,購入を見送ったため.今後,既存の装置の改良と成果の公表に活用する.
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