2018 Fiscal Year Research-status Report
非接触磁気駆動を用いたマイクロ空間弾性機構の製作および駆動技術の開発
Project/Area Number |
18K03904
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松浦 大輔 東京工業大学, 工学院, 助教 (40618740)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁気テザー / マイクロ弾性機構 / アディティブマニュファクチャリング / 非接触駆動 / 磁気駆動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,磁気浮上技術の応用により微小粒子に対して所望の方向・大きさの磁力を精密に発生する非接触形マニピュレーション装置を用い,微小な空間弾性機構の組立と駆動を実現する技術の開発に取り組んでいる. 球形の微小磁性粒子を所望の位置に位置決め後に接合し,高アスペクト比の微小立体形状を造形可能とするアディティブマニュファクチャリングの実現に関しては,まずその実現可能性を実験的に検証するため,直径数十μmの紫外線硬化樹脂液滴を,磁気テザーに代えて硝子管を引き延ばして製作した微細なピペットとマイクロマニピュレータによりハンドリングし,液滴同士を接触させた後で紫外線を照射することで結合して,微小な弾性構造物を製作する手法を構築した.さらに,この方法で製作した長さ200μmの弾性梁の先端に磁性粒子を接着して磁気テザーの磁極により磁力を印加し,弾性梁に変形を生じさせられることを確認した.その上で,このような微小な液滴が連なった弾性構造の外力の印加に伴う変形を解析するため,個々の液滴と接合部を剛体リンクと弾性ばねに置き換えた直列連鎖としてモデル化し,内力の釣り合いおよび各弾性要素に蓄えられる弾性エネルギーの総和の最小化に基づく最適化計算により,分岐も含む弾性機構の解析を行えるようにした. この解析方法を用いて長さ・幅が約400μmのマイクログリッパを設計し,上記の手法により製作することに成功した.さらに,このグリッパの2つの指先に直径100μmの磁性粒子を取付け,磁力が印加されている間はグリッパを閉じ,無くなると弾性変形により再び開かせることに成功した.このグリッパを用いて,直径100μmの硝子製粒子の保持と釈放ができることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ空間弾性機構のモデル化と力学解析については予定通り進捗があり,任意の数および分岐構造を有するマイクロ弾性機構の解析に資する計算アルゴリズムを構築し,グリッパ機構の設計に資することが出来た.また,その製作については,磁気駆動の代わりに硝子ピペットを用いて樹脂液滴と磁性粒子が混在する高アスペクト比のマイクロ構造物および機構の製作に実験的に成功し,樹脂液滴と微小磁性粒子を組み合わせて柔軟弾性機構を製作するとの提案コンセプトの実現性が確認できた.磁性弾性機構の磁気駆動原理を用いた非接触駆動については,製作したグリッパを磁気テザーの磁極を用いた磁気駆動により開閉させ,試料の硝子ビーズを把持・開放することにも成功しており,研究は概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築した解析アルゴリズムを用いて,多自由度の運動を実現できる柔軟弾性機構の設計を見出し,製作および駆動実験を行う.具体的には既に実現されたグリッパの開閉運動に加えてその位置を水平面内で変えられるような機構を追加し,離れた位置にある試料(硝子ビーズ)へグリッパを位置決めした上で把持し,別の位置に移動させて開放できるような実験系の構築を目指す.この実現のために,弾性機構の解析アルゴリズムのみならず磁気テザーそのものの発生磁力の解析・制御精度の向上を図る.磁極の残留磁化のモデル化と推定や,磁極への磁気センサの追加による実測定を用いて,作業空間内に所望の磁場を発生させ,精度良く弾性機構への印加力を制御可能とする.
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Causes of Carryover |
実験装置の製作・改良費が当初の予定額より少なくなったため,次年度への繰り越しが生じた.上記の残余額は次年度の実験装置の製作・改良費に使用する予定である.
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