2020 Fiscal Year Research-status Report
CNT複合シートの超音波振動を利用した滑雪性能革新および滑雪メカニズムの解明
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18K03905
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| Research Institution | Nagano National College of Technology |
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Principal Investigator |
柳澤 憲史 長野工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (90585580)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 滑雪性 / 滑水性 / 振動 / シリコーン / カーボンナノチューブ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
加振による滑雪性メカニズムを明らかにするために，本研究では，振動させたシリコーンシートと氷球間に働く摩擦力測定を行った．固体表面上の水滴を滑り落とす機能を滑水性と呼び，本研究室で開発しているシリコーンシートは高い滑水性を有している．固体表面上の雪を完全に滑り落とす機能を滑雪性と呼び，滑水性シリコーンシートを用いて，加振が滑雪性にあたえる影響を詳細に検討することを目標としている．これまでに，加振したシリコーンシート上の雪粒をせん断させた際，雪粒との界面ではどのような潤滑状態が支配的であるか確認するため，振幅を増加させたときのシリコーンシートと氷球間の摩擦力測定を行ってきている．昨年度までに，氷試験片の改造により安定した氷摩擦力測定が行え，振動による滑雪性の向上と，潤滑状態の観察が可能となった．今年度は，潤滑状態の詳細な観察と加振による滑雪性向上メカニズムの解明に着手した．今年度，本研究により得られた成果は以下のとおりである．
① 3つの球面が水平にかつ三角形に配置されるような形状の氷試験片を用いて摩擦力測定を行った結果，加振によりシートと氷球間の摩擦力が減少することが分かった．
② 振動周波数を変更して摩擦力を測定した結果，振動加速度と摩擦力減少に相関が見られた．
③ 界面を顕微鏡モード付のカメラにより観察した結果氷試験片とシートの界面には，どの振動加速度においても水の発生は見られなかった．
④ 加振によるシートと氷球間の摩擦力の減少は，固体潤滑であり，スティックスリップの励起を抑制することが示唆される結果を得た．
今後，加振による滑雪性向上メカニズムが明らかになることで，着雪防止技術の飛躍的な発展が可能となることから，その社会的意義は大きい．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では，2020年12月までに，振動の振幅，周波数を変化させ，シート上の雪粒のせん断力を測定するとしていた．雪粒が微小であることから，シート上の雪粒の摩擦力を測定することは困難であった．本研究では雪粒の替わりに氷球を使用することで，シートと氷球間の接触面積を予測でき，振動加速度と氷摩擦力に負の相関が見られることを明らかにしている．さらに2021年7月までに雪粒-シート界面の観察を行うとしていた．昨年の報告にもあるように実験を氷球により行うことで実際に顕微鏡モード付カメラにより界面の観察を行うことが可能となった．これにより，水の発生が無いこと，固体潤滑状態であることを確認できた．これにより，おおまかに真実接触面積の測定も可能となった．今後より詳細な界面状況の観察を行うことで滑雪メカニズムの解明が可能となる．その結果，新たな応用研究創出にもつながるため，本研究の重要性は高いと考えられる．
以上のことから，本研究はおおむね順調に進展しているということが言える．
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究では，振動させたシリコーンシートと氷球間の摩擦力を測定することにより，滑雪性の向上に関する考察を行った．今年度，振動加速度とシート-氷球間の摩擦力は負の相関があることが確認でき，どの加速度においても水の発生が見られないことを確認できた．これにより，加振によるシートと氷球間の摩擦力の減少は，スティックスリップの励起を抑制することが示唆される．さらにシートと氷球間の接触面積を予測できた．
今後は界面の立体的イメージ化に挑戦する．現状の氷球形状では複数方向の界面観察が困難なため，氷球形状を検討し，氷球とシート界面の様子を三次元的にイメージ化させる．この観察システムを2021年7月までに構築し，氷球のせん断時のせん断力と界面の状態を比較し，滑雪メカニズムの解明に挑む．
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Research Products
(8 results)
