2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of sheet medium separation technology using electrostatic adhesion force
Project/Area Number |
18K03912
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
吉田 和司 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (20816342)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 静電力 / 静電吸着力 / 静電電極 / 紙媒体 / 分離機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
成果:(1)タグチメソッドを用いて、100mm×100mmの寸法において、最大の静電吸着力を発生する櫛歯状電極の寸法と配置間隔、基板の材料と厚さ等の適正化を検討した。その結果、電極材料は銅、電極の幅寸法は3mm、正負電極間の間隔は3mm、基板材料はポリカーボネート、基板厚さは3mmの条件で静電吸着力が最大になることがわかった。(2)タグチメソッドで得られた電極幅寸法と間隔の結果を裏付けるため、静電吸着力の理論的な検討を行った。その結果、電極の幅寸法と電極間の間隔を等しくし、かつそれらの値が小さいほど大きな吸着力が得られることがわかり(1)の結果が裏付けられた。(3)上述の結果に基づいた静電吸着式ゲートガイドを製作し、紙媒体分離機構に取り付けて紙を一枚ずつに分離して繰り出す動作を行い、分離機構としての基本動作が可能であることを確認した。 課題:(1)入力電圧として直流電圧を用いた場合、吸着力の値は大きいがバラツキが大きく、吸着力制御がむつかしいことがわかった。また交流電圧を用いた場合は、吸着力は小さいが対象物が均一であれば吸着力はほぼ一定で制御が容易であるものの、周波数の依存性があることがわかった。今後、最適な入力電圧の検討が必要である。(2)上述したように、電極の幅寸法と間隔寸法は小さいほど大きな吸着力が得られるが、今回の条件ではこれらの寸法が3mmより小さい場合は絶縁破壊が生じ、印加電圧により限界があることがわかった。今後、印加電圧とこれら寸法の最適化が必要である。(3)基板厚さと吸着力の関係が理論的な面で明らかになっておらず、これを明らかにする必要がある。(4)静電吸着式ゲートガイドを用いた紙媒体の分離機構の基本動作確認試験においては、紙媒体が同時に繰り出される重送が発生することがあり、重送が発生しない電極形状を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度取り組みの目標としていた、静電吸着パッドにおける電極や材質等の具体的な寸法や材料を明らかすることができ、また紙媒体の分離機構としての基本動作を確認することができたことによる。 一方で、実用化に向けては上述したような新たな課題を解決する必要があることがわかった。これらについては引き続き検討を行い、実用に耐えうる技術の構築に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは上述した課題の解決に向けた以下の検討を行う。(1)最適な入力電圧の検討として、直流電圧使用時におけるバラツキの克服、交流電圧の周波数の適正化、交直両用の入力電圧を用いた場合の吸着力の特性などを検討する。(2)絶縁破壊に関しては、最適な入力電圧の検討と並行して、以下に低い電圧で必要な吸着力を得ることができるかという観点で検討する。(3)基板の厚さの適正化に関しては、理論的なアプローチを行い因果関係を明らかにする。(4)紙媒体の分離機構の性能向上のため、摩擦式の分離機構を参考にしながら、現状平板状の静電吸着式ゲートガイド形状の改良検討を行う。 次に、静電吸着力を用いることで予想される紙媒体の帯電による障害とその対策方法を検討する。 なお、これらの検討にあたっては、新たに電界解析のシミュレーションツールや電荷の測定装置などを導入して理論と実験の両面からアプローチする。また、これまでの成果に関する学会発表を行い、当該分野の研究者や技術者との情報交換により本研究に有益な情報を入手したい。
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Causes of Carryover |
より複雑な現象の理解、解明にあたっては電界シミュレータの購入と表面電荷の測定装置の両方の導入が不可欠と考え、今年度にこれらが導入できる予算として確保した。これらの導入に必要な見積金額は約47万円(消費税含まず)である。当初予算金額の40万円に上述の金額20万円を加え、本年度の研究を推進する。
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