2018 Fiscal Year Research-status Report
化学-力学変換素子を用いた組込型微小ポンプの開発とバイオ分析チップへの応用
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18K03915
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
岡野 太治 中央大学, 理工学部, 助教 (60622082)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Belousov-Zhabotinsky反応 / 自己推進 / マイクロ流路 / アクティブマター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,自発的に推進運動する液滴を駆動源に用いた自律駆動型マイクロポンプを開発することを主目的としている.これを達成するため,今年度は液滴運動の制御指針を得ることを目指した.その結果,ラチェット様構造を設けたマイクロ流路デバイスを用いることで一方向の運動を抽出できること,ラチェット構造の形状寸法によって液滴の運動速度を制御できることを明らかにした. 研究では,自己推進する液滴としてBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応液滴を利用した.BZ液滴では反応に伴って界面張力の勾配が能動的に生じ,その結果,自発的な推進運動が引き起こされる.このとき,液滴は前進運動に続いて後進運動を示すため,正味の移動距離はほぼゼロとなる.そこで,BZ液滴から一方向の運動を抽出するため,ラチェット様構造を設けたマイクロ流路デバイスを利用した.マイクロ流路に液滴を導入しその運動を観察したところ,ラチェット構造によって後進運動を抑制し,一方向の運動を抽出することに成功した. 続いて,流路に設けたラチェット構造の形状寸法が液滴の運動速度に与える影響を調べた.ラチェットの角度やピッチ,流路幅などを様々に変化させ,液滴の運動速度との関係を網羅的に検証した結果,これらのパラメータが運動速度の決定に直接的に関与していること,運動速度を最大化するパラメータの最適な組み合わせが存在することを見出した. これまでに得られた成果は,国内外の学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,ラチェット流路によるBelousov-Zhabotinsky液滴の運動制御と,流路形状の最適化を計画していた.これらは本年度中に達成していることから,研究は順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,当初計画を概ね達成できた.今後の研究を推進するにあたって研究目的の達成に支障となるような大きな問題点はなく,今後の研究も当初計画通りに実施する.
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Causes of Carryover |
研究推進にあたり必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込額と執行額に差異が生じた.今後の研究計画に変更はないため,前年度の研究費も含め当初予定通りに使用する.
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Research Products
(5 results)